パート5:2000文字_異世界によくある何かでかい肉食うやつ
異世界に限らず、やたらクソでかい骨付き肉ってあるじゃん。
あれって結構デカイ上に、脂が乗ってて凄い食うの大変そうじゃん。
どんだけ食うのが大変か、今回2000文字で書いてみたから読んでみてよ。
小説だからって、全部食いきれるわけないということを証明するっ…!
▼下記から本編(2000文字)
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俺の名前はゴッタス……
身長二メートルちょい、体重は百キロちょいで、筋肉がムキムキでいかにも脇役に存在していそうな脳筋キャラクター。
主人公の右から二番目らへんで「俺も戦うぜ……!」とか言っているやつがいたら、それはきっと俺のことだ。
……いや、俺の世界観内での立ち位置のことなんてどうでもいい。
今は目の前にある状況に対して何とか処理をしなくてはいけない状況にある。
パチッ…パチッ…
ジュワァァァ……
俺の目の前には今、こんがりときつね色に焼きあがった骨付き肉がある。
牛型モンスターから剥ぎ取った、人間が食しても問題がない美味と言われる肉っ……
ジュワジュワと脂を吹き上がらせ、いかにも美味そうだ。
サイズは直径三十センチほどで、幅は二十センチほどの大きさ。
「ゴッタス……いつも俺こと主人公のワガママに付き合わせてしまってすまないな……今日はな……お礼がしたくて、巨大な肉を用意したんだ……」
「お、おう……」
「お前は身長も体重も通常の男性より二回りちょいくらい大きい……きっと毎日の食事も常人より多めに量が必要になってくるだろう……」
「ま、まあ……」
「だから、今日倒した牛型モンスターの肉を、食べてもらいたいと思ったんだ……」
「…………」
「俺こと主人公に対する遠慮はいらねえ……思いっきりガブッと食べてくれ……今回、調理師免許を都合よく持っている設定の俺だ……味は保証するぜ……」
「あ、あぁ……」
目の前に置かれた肉――きっとがむしゃらにかぶりつけば肉汁が溢れて口の中に革命が起きるんだろう……
でも、でもな……それを両手放しで喜べない事情があってだな……
俺は……あまり多く食事を食べるようなキャラクターじゃないんだ!
「どうしたゴッタス……遠慮はいらねえぞ……」
いや、遠慮じゃなくて……こんな量を食えるわけねえだろうと素直に言いたい。
誰だよ、身長やガタイがデカイキャラクター=たくさん食べるという特徴を植えつけたやつは……!
俺みたいに、個室のジムでコスパ良く筋肉をつけてきた人間はなっ……肉よりサラダを食べてきたから、別に胃袋が大きいってわけじゃねえんだっ……!
「お前の筋肉はモンスターを倒すための重要な戦力だ。こういう贅沢でもしないと、維持するのは難しいだろうっ……」
俺の筋肉はなっ……プロテインによるタンパク質の摂取によって形成されているんだっ!
しかもバナナ味でっ……昔よりも美味しいからっ……毎日の摂取を怠ることが全くなかった!
異世界とか、そういう設定とか全部無視してっ……人工的に作り上げた肉体なんだっ……!
「ああ、忘れてた……悪かったな。お前は口が汚れるのを嫌っていたもんな……今、綺麗に切り分けてやる!」
俺が肉に手を付けないことに気づいて、主人公が妙な勘違いをして肉を切り分けてやがるっ……!
何たる好機っ……! これはお前も食べていいんだぞとプッシュすることが出来る絶好のチャンスッ……!
「ほら、一口大に切り分けだぞっ……これなら楽に食べられるだろうっ……!」
「こ、これはっ……」
主人公は剣を扱うのがうまい設定だから、巨大な肉も一口大に切り分けることなんて容易だろうっ……ただっ……!
数百切れっ、存在するっ!
このままでは『俺こと主人公は数切れだけでいい』という言葉に打ち負かされてしまって……やはり俺が全てを食さなくてはいけない都合が改めて確定してしまうっ!
圧倒的不利っ……!
俺はどうあがいたとしてもっ……見た目に沿うような形で……肉を食さなくてはいけないのかっ……!
これはもうっ……耐えられぬっ……!
「主人公……見てみろっ……俺のハラを……このサイズ感をっ!」
「なにっ……?」
「常人より二回りちょいデカイ九十九センチのウエストっ……! 筋肉を除けばっ……胃袋の大きさはっ!」
「…………!」
「およそ千四百ccっ……!」
「な、なんだって……」
「常人に等しいっ……平凡的容量っ……! 肉を全て詰め込むに値しないっ……」
「そ、それじゃあ……この肉はっ……!」
「ああ……二人で均等に半分に分けて……割と普段より頑張りめに気合い入れないと……討伐不可……!」
「くっ……俺こと主人公……何たる失態っ……!」
「主人公……いいんだっ……! ミスは誰にだってある……次に同じミスをしなければいいだけっ……!」
「ゴッタス……俺こと主人公を許してくれるというのかっ……!」
「……許す。だから食え……この肉をっ……お前の責任、半分をっ……!」
「ゴ、ゴッタスっ……!」
「コレが終わったらっ……修行に出よう。お前の調理師としての、修行をっ……」
「ゴッタス……」
「多分、視聴者的にはっ……そういう曲がり道にマジで力を入れるほうがっ……実は受けがいい……!」
「ゴッタス……」
「さあ……音楽プレイヤーに入れている、なんか中ボスっぽい敵が出てきたときに毎回再生している曲を流して食べようっ……! これはオレ俺達が戦うべき……中ボスだっ……!」
おわり
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