第2章
第17話 ある街まで送り届ける
「では、行ってらっしゃいませ」
と儂とおっさんと娘と数人と檻に囚われた山賊共は小屋を後にする。
牢屋に入れられた者達の大半は、奴隷であり、肩には奴隷である印である刻印が刻まれていた。
この刻印。登録された主人に解放の手続きすれば、消えて無くなるのだが。
主人が亡くなった場合、登録された主人枠が空白になり、主人を登録するか、奴隷商人の元に戻り待機状態にする必要がある。
もし、主人が死に登録せず、2日過ぎたら後徐々に衰弱し、7日すればほぼ死ぬ事になる。
で、ここにいる奴隷達の主人は、数時間前から行方不明で、儂と合流時には刻印の主人枠が空白になったという。
奴隷達と願いにより、儂が女性3人、少女4人、幼女3人、男性4人の主人になった。
まあ、奴隷からしてみれば、黒騎士が主人と思っているのなんだが、近いうち解放するつもりだし、縛りも儲けるつもりもない。
ただ名前だけの主人だ。
山賊の中には奴隷達に慕われている者もいて、そいつはその者らの懇願でそいつを解放してやった。
そいつは奴隷達の世話係であり、山賊であるはずのその者は奴隷達に暴力はせず、暴言は吐かず、他の山賊に暴行された者に気遣い、他の者らに隠れて山に出て薬草採り、煎じて青痣が出来た箇所に貼り、看病をした。
時には奴隷達に殴られ罵倒されたが、それでもその者は、
「いつか俺らに報い必ずが来る。その時が来たらお前達はこんな所から出られるはずだ」
と態度を変えずにその行為を続けていたと言う。
スクナに半生と罪歴を調べてもらったが、正式な山賊ではなく、他の者に脅されて、やむなく仲間になったが、奴隷達の言っていたように、殺人、暴行などは一切していなかったし、1人では無く奴隷全員の懇願の為、解放することにした。
まあ、後々話でもして、その者のこの後のことを考えようと思う。
後、小屋を儂の拠点にする。
だから奴隷達を小屋に留守番させている。
おっさんらを街に送り届けたら、ここに帰って来るつもりだ。
娘の特訓はここでやるつもりだし、ここなら多少の奇跡を人目につかない場所だからな。
まあ、その奇跡の一端を、送り届ける者達の尻の下にあるのだがな。
「ホッホホ、こんな鉄の塊が勝手に動き出す地はのう」
「お父様。言葉直したほうがいいですよ。見た目若いですから」
「馬車とは全然違う。全然揺れがない。何だこの乗り物は!」
「飛んでるみたいに静かね…」
乗客を乗せた物は全部鉄で出来た、屋根だけ吹き抜けの窓のない護送車の様な車であるが、馬やエンジンなどの動力源は付いておらず、儂の能力で地面から15cm浮いた状態で進む車のような鉄塊。
乗客の1人が言っていたように、本当に飛んで移動しているから静かで揺れは全くないののだ。
森の木々で入り組んだ道なき道をどうすむのかと言えば、スクナに近くの街まで続く道までナビゲートしてもらい、護送車のボンネット部分に乗っているいちごが木々を斬撃で斬り倒して進んでいる。木々は鉄塊に当たらないように斬る様に頼んでいるが、
後、切株などの通るのに邪魔になる物は、土に押し固められ簡易的な道が出来上がる。
切り倒された木々は帰りに持って帰るために道の脇にそのまま放置した。
森を斬り開き、簡易的な道を作り正規の道を見つけ森を抜けると城壁に囲われた街が一望出来る丘に辿り着いた。
「貴様!?何者だ。手を挙げて投降しろ」
だが、街を一望する前に100を超える服装バラバラな者達とそのリーダー格と思われる白を基調とした鎧を見にまとった金髪の女性がこちらに剣の切っ先を向け怒鳴りつけていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます