第13話 ある神のいない世界での神主の仕事

爺さんに念を接続する


〔爺さんん聞こえるかい?〕


爺さんはビックリな顔するも、


〈これは驚いた。念話を使える者が居るとはね。ん?男の声に聞こえるのだが何かの道具で念話して居るのかな〉


こっちも驚いた。まさか念話で返されるとは思ってなかった。


〔ああ、私が持ってる物でそ念話を送っている〕


〈念話までして、私とだけに何か話したいのかい?〉

〔念話を使ったのは通話手段が無いだけで、私は口で話せないからな。2つ確認したかったことがあった。〕


〈確認とは?〉

〔山賊アジトに貴族様がデカイ顔をして踏ん反り返っていたが、面倒臭い案件になりそうなんで爺さんに全て任せて良いか?あ、奴らは今外で天日干しにされていて強力な睡眠薬で後9時間は夢の中さ〕



〈任せるとは一体?〉

〔私は国の政に関わることはしたくはない。だがあの馬鹿貴族を野放しにする気も無い。爺さんの娘とのやり取りで、なんだかの証拠の鍵を探しているみたいだったんでな?馬鹿貴族が逃げられないほどの証拠かなと思って聞きたいのだが〕


貴族に関わって1つの国に拘束されるのは勘弁願いたいからな。


〈アレはギルドに持っていくだけで十分です。ギルドは国以上の権力を持ちながら絶対中立を掲げる国際機関です。貴族だろうが、ギルドの中に入れば罪状一発でバレて即刻、犯罪奴隷行きです。アレの家も粛清されるでしょう〉

馬鹿貴族をアレ扱いか。と言うことは、証拠の対象は別?


〔…何の証拠と聞いたらまずいか〕

〈…政に関わりたいのなら話しますが。私個人としては関わって欲しいのですが…〉


爺さんが関わって欲しいとこちらを見て居る。


〔いや、いい聞かない。じゃあアレは殺処分して問題ない訳だな?〕

〈…そうですか残念です。殺処分と言うより、貴族様は魔物に殺されたって事にしましょう。それなら後腐れも有りません。

寝て居るのなら魔物の群れに置き去りにするのもよし。〉


なるほど、魔物なら仕方がない。街から出ればいつ魔物に襲われても不思議ではない…か。…後残念がるな。


〔全員生け捕りは意味なかったのか?〕

〈いや、あれ以外は生け捕った意味はあります。犯罪奴隷にして売ったら結構なお金になります〉


じゃあそうしようか。


〔で次の聞きたい事2つ目だ。お前は何者だ?捕まった理由は、その証拠とやらのせいだと思うが〕

〈私は近くに街のギルドの副長だ。嫁がギルド長だよ。嫁の留守中に娘がここの連中に拐われてしまって、「指定した場所に一人でこい。他の人を連れてきたら娘は殺す」と文が私の部屋に投げ込まれて。一人で指定の場所に行ったら、この有様じゃ〉


ギルドの副長さんかよ。にしては相当弱そうだな。


〔副長…ね。にしては細い体してるな。魔術師か?〕

〈違う、儂は元商人だ。この歳まで一回も魔物を殺した事はない〉

〔素人がよく拷問を耐え抜いたな。

しかし、ギルド副長が魔物と戦闘しないとは〕

〈ん?ああ。1つ訂正しておこう。ギルド職員が全員、戦闘力がある訳ではない。ギルド職員になるには、生まれながらの能力。男なら【巫】女なら【巫女】が必要だ。それら熟練した上位能力が、私が持ってる【神主】だ。【神主】を持つ者は各ギルドの長、副長になる資格があるって訳だ。ギルド長であるはずの嫁は、現役の冒険者で1番強い〉


何だそれは?悪い冗談か?神のいないこの世界で神に奉仕する職場名がこの世界の中枢に有るなんて…

いや、落ち着け。この人らに当たるのは筋違いだ。


〔その能力は遺伝か?〕

〈遺伝ではあるが、私は嫁との娘が出来た時に発現した。嫁は別の場所でギルド長して居る。…心配してるだろうな。〉


〔と言うことはこの娘にも…〕

〈ああ、【巫女】を持って居る。後、嫁から戦闘系の能力が濃く受け繋がれている〉

〔娘は強いのか?〕

〈少なくとも、駆け出しの冒険者よりも強いよ〉


うーん娘を育てて、英雄に仕立て上げるのもいいかも知れない


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