第3話 ある名の知らない森の中にて


……


………


…………ん、ここは?、うぐっ!


体中が痛い。視界がぼやけてはっきり見えない。ここはどこだ?


視界がハッキリし、あたりを見回そうとしても、首が回らない。手足も動かない。

あれ?儂は元に戻っている?

儂の本体は身丈60cmの石製神像で誰の神をモチーフにしたのか不明だが、今はどうでもいい。


儂は倒れているのか?なんで倒れている?何があった?



嗚呼、そうだ。他の世界に行くからって転移装着に乗ったんだ!


‼︎そうだ。乗り合わせた連中

彦坊は?

虫の神は?


ああ、動けない。神力は十分あるのに変化出来ないなんて。せめて『立ち上がりたい』


ボコッ


と地面がせり上がり儂を綺麗に立たせてくれた。せり上がった土は役目を終えたかの様には綺麗に地面に戻っていく。


試しに石の神体を浮かせる

と念じてみると宙に浮いた。


この能力は彦坊の『土と金属を司る神』の物


え、どう言う事?

なぜ彦坊の能力が使える?

転移装着が何かの不具合で神力が混ざちゃった?なわけないと思うが現に彦坊の力が使える

じゃあまさか…『虫の神』の能力も?

でも虫の神の能力って何だ?

儂ら『神』は創造と言う能力を持っているものが少ない。だが儂と彦坊も創造出来る神だ。


だが、全く新しい生物を創造とは出来たら

虫の神は上級神て事になる。生物創造は上級神のみが使える行為だからだ。

出来るかどうか試しに自然に影響が少なく人の役に立つ益虫を創造してみよう。

うーん何がいいか。蜂は今はダメ、人を襲う。

蚕、うん蚕にしよう。


浮きながら、この森で比較的に背が低く種が少ない樹木を見つけだし、こう念じる。

『あの樹の種の葉を好物だが2、30枚ぐらいの葉を食べて繭を作る蚕をいでよ』



まあ、そんなうまい話が…

こんなところに芋虫いたっけ。

いやこれ蚕だ。出来ちゃったよ生物創造。


でも生物創造はやめたほうがいいな。

どこに影響あるか分かったもんじゃない。

蚕には悪いが1匹で生きてくれ。番いが居なければ繁殖しないからだ。


創造の能力だけか。いや他にもありそう。

『この森の飛べる虫たちよ。ここに集え』



結果、虫は集まった。

エラい事になったとだけ言っておこう。

即座に元に場所に帰ってもらった。

むやみに集めないほうがいいな。

儂の精神が摩耗するから。


今の儂が使える神の能力は3つ


まず儂の元々あった

薬毒之神の能力は

『薬や毒の創造と製薬と薬毒や草木の知識』

製薬は材料が必要だが道具、機材なしでやることが出来る。

薬毒や草木の知識は莫大の薬の調合方法と樹木や草や菌などを理解している。その中でも危険薬、空想に産物とされた禁忌薬と調合方法も知っている。

製薬と知識は人に製薬技術を教えるための能力だと思う。必要の際は創造で一発だからだ。まあ入れ物に入ってる状態で創造して欲しいけどね。


次に彦坊、金山彦神の能力は

『土、鉱石、金属の創造と加工と操作と鉱石の知識』

加工は、抽出、化合、精錬を道具、機材なしでやることが出来る。

操作とは、対象の金属を宙に浮かせたり、好きな形に変形させることが出来る。彦坊が昔鉄筋コンクリートのビルを1人で1日で造りあげたの思い出した。



最後に虫の神の能力は3つかな。

『虫の創造と使役と虫の種類の知識』

あ、多分進化促進も可能性がありそうだ。




能力を整理すると、つくづく下級神では規格外の能力の数と質だ。創造系の能力は1持ってる下級神は稀有な事なのに。3つも有るとかエリートな上級神並じゃないですか。儂の許容範囲超えてますよ。


いや、まずはなぜ彦坊と虫の神の能力が儂に使える?。と言うより、彦坊たちはどこいった?。無事なのか?


ピピッピピッ…


と頭の中からアラームが鳴り響く。

儂は転移前に貰った端末を思い出し顕現させる。カード化されて端末にはこう記されていた。


世界名:不明

世界座標:不明

世界強制崩壊まで:99998505年後【変更不可】

創造神:無し

世界神:無し

在籍神:無し

現地神:無し

接続顕現:フリー

現在地:極東辺境の密林


……はあ?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る