4-3
そして、話し合いをした日から、退院は三日後の土曜日になった
もちろんその間も姉も私も
お見舞いは欠かさなかった
そして退院日の二日前
いつもの様に待合室で順番待ちをしていると
少し前に見た老夫婦の二人が
部屋から出てきて
叔母ぁさんは泣いていた。。
叔父ぃさんは、手を握ってあげていた
涙を隠そうとハンカチで覆い、顔を上に上げている
私も姉も、そうなる(猫が助からない)かもしれない
その時の悲しさは経験している
この時間帯は老夫婦と私達の二組しか居らず
気持ちを汲み取って、外で待機をした
私自身も、悲しみに浸る老夫婦をみると泣きそうだったからだ
20分後。。おこげと、沢山の動物が居た、その部屋の中には
一番奥の猫の姿は無かった
これは私の勝手な想像だけど、あの猫の飼い主は老夫婦で
あの二人は、安楽死を選んだ
そう思った。。
私は目に涙を溜めて、それ以上溢れぬように
おこげとのスキンシップで 押さえ込む
私までもが泣いている姿を、待合室にいる叔母ぁさんには見せたくなかったからだ
そして、老夫婦に敬意を覚えた
少しでも長く、少しでも痛みを無くそうゆう選択をしたのだろう
前に聞き取れなかった少しでも。。。の言葉はきっと
こうゆう事なのかもしれないと思った
莫大に掛かる手術費用は無理でも
お金を掛ける事には変わらないのに
延命を望んだ老夫婦に敬意を示さずにはいられない
想像と違っていたとしても、長く生かした事には変わりはないはずだから。。
その二日後
退院の当日
この日は母親も出来れば連れてくるようにと言われた
今までの担当の先生から
おこげの状態と手術の事やら
色々と母に説明した
これから家族になるなら、知っていた方が良いと私も思う
きっと先生もその為に、出来たら連れてきてと言ったんだろう
母への話が終わると、先生は帰る前に
看護婦女性の一人が、猫をたくさん飼っているので
初めてだと思うので、話を聞いてくださいと言ってくれた
私は診察室を出る前に、他の周りにいるスタッフの人達にも
(本当にありがとうございました)とお辞儀をしながら伝えた
そのあとは
猫の飼い方を聞くようにと言われた、看護士の方に声を掛けて
別室で説明を受ける
(それじゃ、おこげちゃん連れてきますね)
注意事項や生活の事、色々と教えた後に看護師の女性は
部屋を出て
おこげを連れてきた
(ニャオー、ウキャー)
顔を合わせるとケージの中で、一回、二回と回っている
(よく頑張ったねー偉い偉い)
私が声を掛けるとグルグル喉を鳴らした
ケージから出して、初めて抱っこをした
その時は見た目に反して、ものすごく軽かくて驚いた
今まで、他の野良猫を抱いた事はあったけど、こんなに軽さを感じた猫は初めてだった
それくらい、おこげは大変な目に会い、頑張ったんだと痛感した
(病院では調整してるんで、食欲はあるので大丈夫です)
看護師は、私の考えている事を察してくれたようで、聞く前に教えてくれた
(でも、五キロはいかないように気を付けてくださいね)
同時に、虚勢の手術をした事もあって、肥りやすくなるらしい
食事の管理は徹底しないと、私は自分に言い聞かせた
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