3-2

その声を聞いた私も、急いで駆け降りた。。

そして目にしたものは、大量の粘液とそれに少し血液が混じっていた

確実に病状が悪化しているのは見て明らかだ。。


おこげの下半身は ヌルヌルした液体で濡れていた

自分ではすでにそれを舐めようとする 気力も無く、片足に体重を預けてペタンと座る


私は、膝をついてタオルを持ち どこが痛いのかは解らないが

優しく撫でる様に下半身を拭いた


そうしていると、おこげは、私の膝と膝の間に、顔を埋めてくる

死が怖いのだろう。。体は震えていた。。


私は一度、タオルを風呂場で洗い、おこげの体に付着したヌルヌルを拭き取る

それを三度程繰り返した、おこげはもう一度、私の膝の間に顔を埋めた

 


そして あさの六時までその状態で待ち

おこげも鳴くことをしなくなった


あとで医者に確認したところ その時は痛みのピークを過ぎた頃だったのだと聞いた。。


そのまま三時間ほど、おこげはリビングの隅の方でおとなしくしている


姉が朝の8時半頃、帰宅し 私もその頃 動物病院に電話をし 

おこげを自分の服で包み 直ぐに連れていく


9時頃に小島病院に着くと


受付を済ませて、直ぐに診察室に呼ばれた


診てくれたのは女性の先生で、まず状況を聞かれた


そのときに。。私はついてはいけない嘘を口にした


(野良猫なんですが、昨日の夜、庭で苦しそうだったので保護をしました)


一瞬、言うのを拒んだ自分が居たが、少しでもお金が安くすめば 助けられると思い

野良だと口にしてしまった。。


これも人間のエゴだ。。飼ってはいない、でも餌をやって 家に少しでも上げたら

それは飼っているのと同じなのに


都合が悪くなると飼い主じゃありません。。そんな台詞は残酷な言葉だ


私は、遅いかもしれないが昨日の夜から、助かったらこの子を飼おうと決めたのに

今、おこげの為とはいえ、こんな残酷な言葉を口にする事に罪悪感で胃の辺りが締め付けられた。。




そして、朝までの事を説明し終わると、先生が優しい声で、おこげに話をかけた


(どうしたかな?どこが痛いのかな?)


そういいながらおこげの 陰部の辺りと膀胱を触診した


おこげは、(うぅぅ。。アオー)と低い声で 痛そうに叫ぶ

先生はひたすら、大丈夫大丈夫といって優しく話しかけた


触診が終わり、体の検査をしたいと言って

承諾を確認され合意する



その結果、カルテを持ってきた先生が指した所は

ほんらい膀胱が綺麗に膨れている場所だが


おこげのカルテにはそれが影も形もなかった。。。


先生は色々と説明をしてくれていたが、頭の中で助からないの文字だけが

連想され後半は余り覚えていなかった


私はおもむろに、助からないんですかと先生に聞いた

姉は何も言葉を発しない。。


先生はこう言った。。

膀胱を膨らませてあげて、安定するか確認したい。。


さっきからそうゆう話をしていたらしく、自分がそれを聞いていなかっただけの様だ


そして、カルテだけでは解らないこともあるからと

他の処置の合意も確認され、私は承諾した。。


血液検査やその他の検査もするので

夕方にもう一度 来てほしいと言われる


私は深く頭を下げてお願いした。。


一度、帰宅して、一時間ほど経つと、眠らずにいた体が自然と 

自分の意識とは関係なく 眠りはじめた。。



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