4
次の日、私は早く寝たかいがあってか、早く目が覚めた。
早寝早起き、大事。
とりあえず、服を着替えてっと
リビングに行くと、父さんはもう起きていた。
あれ、私早起きしたはずなんだけどな…?
「マリーナ?起きるのが早いね、おはよう」
一瞬驚いた顔を見せ、すぐに笑ってそう言う父さん。
そういう父さんもとても早いですね。
私父さんよりも早く寝たはずなんだけどな…
「母さんももう起きているし、挨拶してきたら?」
え、母さんも!?
あれ、私本当に早起きしたはずなんだけどな…
私1番遅いじゃん…
「じゃあ、母さんに挨拶でもしてこようかな!」
沈んだ気持ちに被せるように明るい声でそう言った。
コンコンっとノックすると、「はい、どうぞ」という母さんの声が聞こえてくる。
私はその声を聞き、ガチャリとドアを開けた。
そーっとドアの隙間から顔を出す。
「あら、マリーナ?おはよう。どうしたの?今日は早いわね」
優しく母さんはそう言う。
「おはよう、母さん。今日は図書館に行ってみようと思って」
早寝早起きをね、頑張ったんですよ。1番遅かったけど。
「あら、図書館に?珍しいわね。なにか調べるの?」
「学院に通うことになるからそれについて調べてみようかなって思って」
嘘は言ってませんよ?
本当です。
でも決してこの世界のことがぶっちゃけ分からないんですなんて意味不明なことは言いません。
「あら、マリーナったら、もう学院のことを考えてるの?そりゃあ、貴族が多くて気後れしちゃうかもしれないけど、堂々とすればいいのよ?学院内ではみんな平等なんだから」
それは表だけなんです。きっと裏ではもうそれはそれは怖いことをしているんですよ、貴族ってやつは。
「一応貴族のマナーも知っておこうと思って」
勉強家というところを一応強調。
小説は借りに行くけど決してそれだけじゃあないんですよ、と。
「やけに勉強家ね、マリーナったら。フフッ、あまり遅く帰ってきちゃダメよ」
いってらっしゃいと母さんは笑いながら言ってくれた。
「行ってきます」
私もそう言って、母さんの部屋を出た。
またリビングへ行って、朝ごはんを食べる。
朝ごはんは昨日の残り。
残りにもかかわらず考えられないぐらい多いのだが。
軽いものを選んで食べ、また自室に戻った。
忘れ物は…ないな!
よし!!
行こう!!!
玄関に行くと、ちょうど父さんも出ていくところだった。
「ん?どこか聞くのかい?マリーナ」
「図書館に行こうと思って」
「図書館?マリーナ、読み物はあまり好きじゃなかったんじゃなかったかい?」
驚いたように父さんは言う。
「学院についてちょっと調べてみようと思って」
母さんに言ったことと同じことを父さんにも言う。
「そうかい。昨日の魔封じの件で興味でも出てきたかい?」
いいことだな、と笑って父さんは言う。
「うん、そんなところ。じゃあ、行ってくるね」
「ああ、いってらっしゃい」
「いってきます」
私はそう言って、家を出た。
…あれ、父さんはいつ出るんだろう?……ま、いっか。
今は町を楽しみます。
朝の町はとても活気づいていた。
朝市があり、魚屋さんや八百屋さん、パン屋さんが立ち並んでいて、ほかにもスープを売っていたり、装飾品を売っていたりと色んな屋台が並んでいた。
うわぁ!!
すごい!
どうしよう、図書館に行きたいけど朝市も見たい!
うーーん……
今日の目的は図書館!
朝市は朝ごはんも兼ねて違う日にしよう…。
そう考えるも、この道を通っていれば美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。
綺麗な装飾品も目に入り、足を止めずにはいられなかった。
ああっ、このブレスレット可愛い!
…いやいやいや、違う違う。
買わない。次にしよう。
早足で図書館へと向かっていく。
買いたい気持ちと買わない気持ちの葛藤をしているうちに図書館についた。
石煉瓦(いしれんが)に囲まれた洋風の白い建物が立派で一瞬言葉を失う。
あれ…?図書館でっかくない?
小さいときに来た以来だからかもしれないけどそれでも普通の図書館より大きい……。
この世界の普通を知らないから、日本の普通でしか言えないけど…。
当たりを見回しながら、私は中に入っていく。
入ってすぐにエントランスがあり、女の人が立っている。
「おはようございます」
ニコッと笑って私に向かってそう言った。
「お、おはようございます」
ぎこちなくそう言い、この女の人に図書館について聞こうと思い当たり、足を止めた。
「あの……この図書館の仕組みを教えていただきたいのですが……」
窺うように私は女の人を見る。
「この図書館は初めてなんですね。ではご説明いたします。
この図書館は数百万冊以上の本が置かれており、その本を好きな時に好きなだけ読めるようになっています。当館には閉館時間がないため、いつでも来ることができます。また二階には簡易仮眠室も備わっております」
…す、すごい……
閉館時間がないってまるでコンビニじゃん!
仮眠室って、図書館に普通にあるものなの!?
「用事などで本の続きを当館で読めない場合、貸し出しもできます。貸し出しの場合、カードが発行されます。中に司書がいますのでその者に本を渡し、借りますといえば発行、貸し出しが可能です。貸し出しには期限がありますので、期限をきちんと守ってください。もし、期限を過ぎた場合、カードから警告が現れますので速やかに反してください。繰り返した場合、貸し出しはもうできませんのでご了承ください。紛失の場合、再発行はできますが繰り返した場合、一定期間カードをおつくりできませんのでご了承ください。ここまででなにかご不明な点はありますか?」
「あー……お、おなかがすいた場合はなにか食べる所や飲む所もあるんでしょうか?」
「はい、仮眠室とともに備わっております」
おお……もうホームレスとかいない感じなんだね……
「勉強する机、椅子はありますか?」
これがないと貸し出し族にならないといけなくなる。
「ございます」
よっし!勉強するぞー!!
「ありがとうございます」
私は明るくそう言った。
「いえ、ではごゆっくり」
そう言われ、私は図書館の中へと足を踏み入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます