第7話 体調不良

「はいぃ、手苦世紀末研究所ですぅ」

 電話から聞こえてきたのは忘れたくても後味が残る、手苦伍一教授本人のものでした。


「すいません、わたくしよろず何でも…」

「ああ、その声はぁ、伊之助君のところの娘だねぇ、相変わらず艶っぽい声でぇ」


 私は背中をはしった悪寒のせいで、暫しの間絶句してしまいました。

「ゆりこ君といったかなぁ、っくっく」


「…あっ、はい………」言葉が続きません。


「っくっく、ボクに頼みでもぉ?」


 私は耐えきれないと思い、電話を社長に渡してしまいました。渋々受け取った社長が変わりに話しを続けてくれます。

 面倒がった割には、会話も弾みときおり笑顔さえ浮かべています。


「………では、宜しくお願いしたい」

 どうやらようやく話が終わったようです。


「今週中に先程のあの男と会って、来週には結果を持ち込んでくれるそうだ」


「持ち込む?って何をですか?」

 社長の言葉にぴんと来なかった私は、不用意にも聞き直してしまいました。


「やはり血の巡りがわるいようだねキミは、虫だよ!虫に決まってるだろう!あの男の体内から虫を引きずり出し、教授自ら此処に持ってくるそうだ」


 私は先程の男の様子と教授のあの声が混ざり合い、吐き気と目眩が収まらなくなってしまいました。










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