第5話 驚き
「いやなに、別にあなたがそうだと疑ってる訳ではないのです。決まりのようなもので、簡単な検査ですよ、簡単な」
更に不満げな奥さまは、じっと伊之助の言葉を待っている。
「心配は御無用、お相手の専門家の先生は快く引き受けてくれる事でしょう。検査に関してはただ、その手の店であっても…その手の店だからこそ!病気持ちの女を嫌う訳です」
この奥様が病人だとでも思うのか?実に艷やかな顔色でどこも具合がわるいとは思えないけど…と私は疑問を浮かべてしまった。
「…はい」
「これまでの不特定多数の殿方との度重なる情事を繰り返したとのお話しから、万が一病気をうつされたりしてないかの検査なのです、保健のようなものです。お話しではどれも御身内の方々しかも皆が皆おかたいと…」
「嫁ぎ先の父君や旦那さんの御兄弟に始まって里帰りの際には、ご実家の父に兄弟、親類のおじに至るまで多数に及んだと…それらの方々は大層おかたいとゆう話でしたね………ならば心配はいらぬと思いますが…念には念を入れよと申しますから」
伊之助の言葉に私は思わず、相談者である奥様を見つめてしまいました。それと大層おかたいの意味はどちらのことかしらなどと変なことまで浮かべてしまいました。
そんな間に奥様は、
「はい、そうゆう事なら仕方ないですね」と納得顔でお返事を返されていました。
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