亡くなった祖父といい元気だが小さくなってしまった祖母といい登場しないけれど存在感のある母といい、さっぱりしているもののどこか暖かみのある家族の物語です。
でも、この作品の中核を担っているのは、他の誰でもなく叔父。
スロットに一万円を突っ込む、絵描きの叔父。
なんだか冴えない青年の姿が浮かびます。
でも、主人公にとっては、存在感のあるひとだったのでしょう。
きっと、憎めない人柄だったのでしょう……そして、そこには家族へ向ける穏やかで静かな愛があったのでしょう。
まさか、そんな最後になるとは思っていなかった。
ラスト、祖母の「男は早く死んでしまう」がじわりと広がります。