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前花しずく

第1話 女子地獄

 俺は今、下着姿の女子共に囲まれている。いや、違うんだ。別に女子更衣室に間違って入ったとか、脅迫して脱がせたとかいうわけじゃない。断じて違う。

 ここは女子更衣室でもなんでもない、高校の1-Bの教室だ。そして、俺は教室の自分の席に大人しく座っているだけだ。この学校の女子共ときたら、男子が少ないのをいいことに着替えを隠そうとしないどころか、下着姿で学校をうろついていたりする。私立校だからといって下着徘徊はいかがなものか。

 男子が少ないと言ったが、どのくらいかと言えば、この学年に俺含め三名しか男子がいない。元々は女子校であったらしいことが原因であるらしい。さらに、それを6クラスに分けるというのだからたまったものじゃない。俺はクラスでたった一人の男子である。

 なぜそんなところを受験したかと言えば、まあ偏差値があっていたからという理由に尽きる。それ以外の理由で高校を探している中学生がいたらぜひ連れてきてもらいたい。もちろん、公立校も同時に受けたのだが、進学校を目指したのが失敗だった。一つランクを落としていればこの女子地獄に落ちずに済んだに違いない。

 これまでの文で分かる通り、俺は「ハーレムだぜやっほーい」などという側の人間ではない。むしろこの女子共の重圧で毎日うんざりしている。女子共はRPGの中盤雑魚モンスターのように、集まるとボス級に凶変する。そこに主人公が仲間も何もなしに放り込まれているのだ。恐ろしいのなんのって。

 この学校は少人数教育を謳っていて、各クラス8人だ。これが40人クラスならまだ男子が二人ほどいたに違いない。恐らく教員の数に生徒を振り分けるとそうなるのだろうが、いい迷惑だ。

 そういうわけで、俺は7人の女子とクラスを共にしている。ああ、もうお喋りなんぞせずさっさと着替えろ。というか一人くらい隠すそぶり見せたっていいだろコンチクショウ。

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