第2話「定時連絡」
ばっくれようとしていたところでジリリリリンと電話のベルが鳴った。
紺色の今どき珍しい古めかしい電話だ。
はじめて秘密結社っぽさを感じた。
しかたない。出てやるか。
「はい。」
「ジョンか。俺だ、ジョンだ。」
「……。」
僕はまあ確かにジョンなのだが、
間違いなく電話の向こうのジョンが期待しているジョンではないだろう。
さてどうしたものか。
「ああ、定時連絡だな。状況はどうなんだ?」
説明が面倒臭くなったのでジョンの振りで通すことにした。
いや、振りではないな。
僕だって立派なジョンだ。れっきとしたジョンなのだ。
「きさま誰だ!ジョンじゃないな!?」
何故かバレた。
「あ、いや、その、新入りのジョンです!」
「そうか。では今すぐジョンに繋いでくれ。」
「えっとそれが今は席を外してまして。代わりに聞くように言われました。」
「ならば伝えてくれ。緊急事態だ!大至急応援をよこしてくれ。
このあと俺は電波の届かないエリアに入る。
詳しい話と応援を送る場所についてはジョンから聞くように言ってくれ。
頼んだぞ!」
電話が切れた。まずいな、また新たなジョンが出てきた・・・。
それでなくともややこしい状況だったのに輪をかけてややこしくなってきたぞ。
「よし、伝言を書き残して帰ろう。」
ホワイトボードがあることに気づいた僕は赤いマジックをキュッキュと鳴らしながらジョンへの伝言を書き始めた。
――ジョンへ。ジョンがやばい。ジョンに聞け。ジョンより。――
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