第7話 知と身と心
今日で二回目の元の世界へ帰る。相変わらず日の光が降り注ぎ、清々しい天気だ。
「夢じゃ、ないんだな。」
思わず呟きながら振り返る。そこには門が黙って待っている。叫びだしたい衝動を抑えながら、これからの事を考えた。
「とりあえず、この門どうしよう……」
部屋に謎の建造物がある、出来れば自分だけの秘密にしたい。幸いにも掃除はきちんと行っているので、親が勝手に上がり込む事は無い……ハズ。
しかし万が一が無いとは限らない、最初の課題に頭を悩ませていた。
バックよし、服装も動きやすい感じに、休日なのを心から感謝した。
結局、門の対処方はドアに鍵を付ける事で、無理やり解決した。穴などを開けずに取り付ける種類の、色が目立たない仕様だ。
すぐバレるとは思うが、まあその時はその時!異世界に行く事に比べれば、些細な問題だ。
余り眠れれてないが、仕方ないだろう。しかし、最初の帰還の時、時間が全く経過してないように感じだ。
だが流石にそれは無いと、踏んでいる。
多分時計を見間違えただけで、正確には時間の進みが遅いと、仮設を立てている。あえて1日、異世界突入を遅らせてみたのだ。
向こうは朝、もしくは昼ぐらいになって欲しいもんだ。オーマにも時差の事を相談し、実験とやらに活かしてもらいたい。
意気揚々と門に踏みこんだ、相変わらず門を抜ける感触が気味悪い。どんな魔法を教えてもらうのか、使えるのか、心が踊りっぱなしだ。
薄暗い倉庫、知らない道具、無事三度目の異世界に移ったのを実感する。
突然背負っていたリュックから破裂音が、前より小さい。
「は?嘘でしょ!?」
慌ててリュックを開くと焦げ臭いと共に、バラバラに引き裂かれた携帯ゲーム機が。
「なんで……なんでだよ……」
長年連れ添ってきた相棒を握りしめながら、悲しみに浸っていると、見慣れた2人が降りてきた。
「……」
「小童、今帰ったばかりであろう、意欲は伝わるが……頭を冷やせ。」
仮説は外れてた。日付は変わらず、夕食も出来ていなかったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます