第4話 接触4

なんでださっきまで普通に違和なく過ごしてたじゃんなんで「落ち着け」 おかしい名前が出て来ないなんておかしい 「落ち着くのじゃ」 大体なんで


 「大丈夫だ、安心して、落ち着くのじゃ」


いつの間にかオーマが目の前に立っている、俺の肩に手を乗せ、静かに語りかける。


だんだんと激情が治まっていた。


 「ありがとう、ございます。突然訳がわからなくて」


 「…恐らく門を通過した時、記憶違いを起こしたのであろう、一過性の魔法作用じゃ、心配するな、その内戻る。」


 「まだ魔法って言い張るんですか…」


呆れを通り越して感心するレベルだ、不思議と反論する気にも慣れない。


 ふと気づいた、さっきまでの失態をリーベスさんに見られてしまった。恐る恐る顔色をうかがう。


 「……」


うう、俺を心配する様な、警戒するような目でこっちを見てる。視線に気付き、お互い慌てて目を逸らした。


 「何見つめあっておるんじゃ全く、出会って早々、気でもあるのか小童?」


 「ちっ……違いますよ!そんなんじゃ無いです!」


 「ほう……孫には魅力が無いと、言いたいのか?」


 「それも違いっあっ……」


 「お、お爺ちゃんいい加減にして!」


さっきまでの気まずい雰囲気は消えたが、新しい気まずさも増えた、もしやフォローしてくれたのか?


 「見る目が無い奴は〆る、有る奴は目を潰す。」


違うなこりゃ。


 「おおすまん、ついの、さて……自己紹介の途中じゃったな。名無しのお前は、小童で良いじゃろうん。」


 「酷え!?」


あんまりだろこの糞ジジィ……


 「お爺ちゃん、それは可哀そうだよ……」


 「んじゃあ何するんじゃ?名無しだと色々面倒だろうに」


 「……んー……イー君、とか?」


 「……なんでその名前なんです?」


 「異世界のイー君!」


可愛らしく言ってもダメです。ちょっと安直ってか、そもそも此処は異世界、の設定なのか?


 「なるほどイーとやら、よくぞ門を超え、この世界へ降り立った!我ら家族が歓迎しようではないか!!!」


もう突っ込む気にもなれない、可愛い子にイー君と呼ばれるのも、悪くは無いだろう。


 「もうそれはいいです、聞きたい事が沢山あります、ここは何処なのか、貴方達は何者なのか、なんで部屋に門が生えてきたのか、魔法とは一体なんなのか!」


 やっと言いたい事を口に出せた、最後の言葉を発した時、オーマの目が光り、リーベスさんが狼狽えた様な気がした。


 「まず最初の答えは、ここはワシら家族の住まい、小童とは住む世界では無い。第2の答えはワシらは魔法使い、

知恵と学問の信徒。第3と4の答えは、同時に話した方が良さそうかの。」


オーマはクシャリと顔を歪ませ笑った。


 「お爺ちゃん、程々にね。」


 「応、分かっておるわい。」


そして、ゆっくりと語りだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る