初めての全力?
「おらぁ!」
俺は、必死になってギルドマスターに斬りかかる。
「ほっほっほっ。効かぬわ」
ギルドマス…。いい加減言いづらいわ!
ギルマスは、余裕で俺の攻撃をかわし続ける。
「次は、わしの番じゃの」
「っつ!」
やはりギルマスになるだけのことはあるな。
攻撃が早いし重い。本当に木刀か?
「うわっ」
そう言って、俺は大きく後ろに飛ばされていった。
「んー?」
そのまま斬りかかってくると思った俺はすぐに剣を構えるが、ギルマスは髭を撫でながら何かを考えていた。
「おぬし。…本気か?」
「えっ?」
「本気でかかって来い。それとも本気で戦えぬ理由があるのか?」
「それは…」
俺は、横目でアイラのほうを見る。
「そう言うことか。それなら」
ギルマスが再び詠唱を開始した。
「ここは?」
「わしが作り出した亜空間じゃ。ここなら本気で戦えるじゃろ?」
「気付いていたんですか?」
「当たり前じゃ。そもそもわしの攻撃を防ぐ障壁を張れる時点で、只者ではないことに気付いておったわ」
「確かに、それもそうですね。シス、能力を全開放して!」
『分かりました、マスター。…すべての制限を解除しました』
「ありがとうシス」
「おぬしは誰と話しているんじゃ?」
「俺の大切な仲間とさっ」
その言葉と同時にギルマスの背後に回りこむ。
「なに!」
さすがに戦いに慣れているためか、ギリギリで俺の一撃を回避した。
「さすがですね。それなら」
「なっ、無詠唱じゃと!」
ギルマスの上空から、沢山の隕石が降り注ぐ。
ドゴォォン
「くぅ~、さすがに今のはやばかったのぉ」
「だったら倒れてくださいよ」
「これぐらいで負けてられんよ」
「そうですか、それならこれはどうですか?」
「なんじゃと…」
俺とギルマスの目の前に、真っ赤な太陽が現れる。
「参った!降参じゃ!」
「それじゃ、俺の勝ちですね」
「あぁ、それでいい。さすがにあんなものを食らったら、身体がなくなるわい」
「やりすぎたかな?」
『やりすぎです』
「本当におぬしは、何者なんじゃ?敵…。ではないようじゃが…」
「俺ですか?シス、どうしようか?」
『マスターに任せますよ?ただ、私はこの人のことは信用しても言いと考えてます』
「そうか、それなら…。ギルドマスター、まず俺のことを聞く前に名前を聞いてもいいですか?」
「なんじゃと?…そう言えば、まだ言っとらんかったのぉ。わしはゴート、この街のギルドマスターをやっておる」
「ゴートですか。俺は、ナオヤって言います。それで…」
それから俺は、これまでのことをゴートに話し始めた。
「なるほどのぉ。それは大変じゃったろうに。実はわしもな…。ということがあったんじゃ」
「そうだったんですか…」
ゴートさんの話に俺は驚いていた。
「よし決めたぞ!おぬしら、今日はわしの家に泊まりなさい」
「いいんですか?」
「もちろんじゃ」
「ありがとうございます!っとアイラにも聞かないとな」
「そうじゃの。それじゃあ結界を…」
「大丈夫ですよ」
そう言って俺は唱える。
『解除(ディスペル)』
「なんともまぁ規格外なやつじゃな。こんなにもあっさりとわしの魔法を破るとは…」
『そうです。やりすぎですよマスター』
「うぅ。すみません」
「気にするな」
『気にしてください』
っく。どうしたらいいんだ俺は。
「それより、アイラちゃんを待たせてていいのかの?」
そうだった。危うく忘れるところだった。
「アイラ!」
「はい。終わったんですか?」
そう言いながら、アイラがこちらに走ってくる。
「あぁ、終わったよ」
「どちらが勝ったんですか?途中から結界がでてきて見えなかったので…」
『どうしよう?正直に言うべきかな?』
そう俺が迷っていると…。
「引き分けじゃよ」
ゴートはそう言った。
「「えっ?」」
アイラは俺の強さを知って驚いていた。
俺のほうはゴートを一瞥すると、こちらに気付いたゴートが頷いてきた。
『どうやら、ゴートさんに助けられたみたいだな』
『そうみたいですね。マスターが調子に乗るからそういうことになるんですよ』
『すみません』
否定できない。確かに俺が蒔いた種だしな。
「ナオヤってそんなに強かったんだね」
「ま、まあな。それより、今日はゴートさんの家に泊まろうと思うんだが…」
『誤魔化しましたね』
「そ、それでいいか?」
「別に構いませんよ」
『騙されましたね』
『うん。シスはちょっと黙ってて』
「決まりだな。ゴートさん、是非泊まらせていただきます」
「うむ。分かったぞ」
そう言った後、俺たちは闘技場を後にした。
「強い魔力の反応があったから来てみれば、ゴートと引き分けだと?ゴートが本気だったとは思えないが…。一応あの方に報告しておくか」
そう言って、謎の男はその場から消えていった。
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