新たな仲間
「実は、意思疎通という能力を使っているんだ」
俺は、シスに言われたとおりに説明する。
「そうなんですか!そんな魔法まで使えるんですね!1人で盗賊を倒せる理由が分かりました!」
どうやら、俺が1人で盗賊を全員倒したことに疑問を持っていたようだ。
「あぁ。…っと食事だったな『シス、さすがにこのままじゃ食べれないんだが…』」
俺は、目の前に置かれているカチカチの食料を見ながらシスにたずねた。
『食べ物を具現化させればいいと思うのですが…。彼女に能力のことがバレてしまうかもしれませんよ?』
『それは困るな。なんかいい方法とかないか?』
『それでしたら、こちらのバッグから取り出せば違和感がないと思いますね』
そう言ったあと、少女の後方にバッグが出現した。
『あのバッグでいいのか?』
『そうです。バッグの中身は亜空間へと繋がっていて、私がそれを管理することもできるようになっています。…が、もし変なものを入れたらそのまま異空間へと捨てていきますね』
『おっおう』
捨てられるんかい。えっ、主人って俺だよな?
とりあえず俺はバッグの下へ行き、それを拾い上げる。
『中には、何が入っているんだ?』
『何も入っていません』
『えっ?』
『何も入っていないですよ。だって何も入れていないじゃないですか』
『…すみません』
『ただ、今から能力を使ってそのままバッグに収納することはできますね』
『本当か?』
『本当です。何を入れますか?』
『とりあえず、この世界にあっても不思議じゃない食べ物を入れてくれ』
『分かりました』
「よし、今から食べ物をだすから」
そう言って俺は、バッグに手を入れる。
ゴソゴソ
これか。…カチカチのパン
『おい』
『愛嬌です』
愛嬌で変なものを入れるなよ。そんなことを思いながら、さらにバッグを探る。
ゴソゴソ
あった。…カチカチの肉
俺は力任せに、カチカチの肉を投げた。
ドガァァン
「やばっ。力加減間違えた」
少女は呆然としながら、肉を投げたほうを見ていた。
俺も見てみる。…小さいクレーターができていた。隕石でも降ったのかな?
『マスターがやりました』
「…おっと、手が滑った。まいったな、はははっ」
『おい。まともなのが無いじゃないか。それに、少女が恐怖で震え始めたじゃないか。どうしてくれんだ?』
『少女に関しては知らないです。…おっと私も口が滑ってしまいました』
『…分かったから、とりあえず食べれるものを出してくれ。早く。俺だって、腹が減ってるんだ』
『分かりました』
「よし、今度こそ」
再び俺は、バッグを探る。
三度目の正直。…カチカチの果物
『二度あることは…?』
『三度ある。じゃねーよ。マジで腹が減ってるんだよ。いい加減にしてくれ』
『愛嬌です』
『しつけーよ』
『はぁ、マスターの好き嫌いが激しいので、別な食べ物を用意しました』
俺が悪いのか?そんなことを思いながらも、バッグを探り始める。
余談だが、遠くの山では山肌が一部はげていた。
少女は…、何度もバッグを探る俺に首を傾げていた。
そして、遠くの山をちらちら見ていた。
「ごめんね。余計なものがたくさん入っていて」
そう言って俺は、バッグの中からラーメンを取り出す。
ってなんでだよ。
少女は、ラーメンを知らないためか首をさらに傾げていた。
「これはなんですか?」
「あぁ、これはラーメンって言って俺の故郷で食べられているものなんだ」
「らーめん?」
「美味いぞ」
俺は少女にそう言ってから、箸を使って食べ始めた。
少女も真似して、ラーメンを食べ始めるが…。
どうやら箸を使ったことがないらしく食べにくそうにしていたので、フォークを出してあげた。
「おいしいです!」
ラーメンを一口食べてから、少女はそう言った。
ちなみにラーメンはどんぶりに入っている。
…そりゃ、容器が無ければこぼれてしまうもんな。そう思って、深く考えるのをやめる。
「それはよかった。そう言えば自己紹介がまだだったな。俺は、ナオヤだ」
「ナオヤ…。私は、アイラです!」
うん知ってる。能力を使って見たからな。
『マスター、気持ち悪いですね』
『うるさい』
「ところでアイラはなんで盗賊に捕まったの?言いにくかったら別に言わなくても大丈夫だけど…」
「はい、実は父が冒険者をやっていて…。それを見てきていたからか、昔から冒険者に憧れていたんです。それで、街のギルドに行って冒険者登録をしようとしたら、村を出てすぐに盗賊に捕まってしまって…。このまま奴隷として売られてしまう…、そんなときにナオヤさんに助けてもらったんです」
なるほど。アイラは冒険者を目指しているのか。
「俺も、冒険者登録したいなぁ」
無意識のうちにそう呟く。
「それなら、私とパーティを組みませんか?」
「パーティ?」
「はい、私と一緒に冒険者になって依頼を受けていきませんか?実は一人で冒険するのが不安で…」
別に悪くは無いか。むしろ、今は無職だしな。それに、こんな可愛い少女と冒険できるなら、喜んでその提案に乗ろうじゃないか。
『下心全開ですね私のロリターは』
『おい、ロリとマスターをくっつけるな。ロリを制覇したみたいじゃないか』
『……』
『無視かっ!』
「いいぜ、一緒に冒険をしよう」
「はい!」
そうして俺は、新たな仲間アイラと一緒に冒険をすることになった。
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