その後のクリバー学園

 ムチャとトロンが学園を去ってから一月が過ぎた。あのプリムラによるサキュバス達の襲撃の件を学園側が王国政府に報告した事により、新生魔王軍の存在は一般市民にもより広く認知され、王国中が少し騒がしくはなったが、クリバー学園の生徒達にとってはあまり影響はなかった。


 レオは相変わらずスケベでありながら、学校の課題や武術の鍛錬をしっかりとこなして、夢であるトレジャーハンターを目指している。先日はまたリャンピンの着替えを覗いて全治一週間の怪我を負ったが、それは自業自得だ。それから、最近ハリーノがエスペリアとばかり一緒にいるので、少し寂しいのは内緒だ。


 リャンピンも相変わらずフェアリーボールと武術の鍛錬に精を出しており、今度は全国フェアリーボール大会の優勝を目指している。噂によると、来年はリャンピンの妹スーピンもクリバー学園に入学してくるらしく、彼女がフェアリーボールクラブに入ればきっと良い戦力になるだろう。


 ハリーノとエスペリアはあれから大して進展していないが、仲良くはやっているようだ。学園祭以降、あの手この手でエスペリアをときめかせようとする奴らは後を絶たぬが、まだエスペリアを心変わりさせた人物はいない。そしてハリーノは未だに鼻のぶつからないキスの仕方をあれこれ模索している。


 プレグとニパは、馬車に轢かれた教師が完治したために学園を離れようと考えたのだが、ニパがマリーナが失恋から立ち直りまで学園を離れたくないとゴネており、未だ学園に滞在しているようだ。プレグもこれを機に、ニパには最低限の教育を受けて欲しいと考えていて、まだ少しだけ学園に残るつもりだ。


 マリーナはまだ失恋から立ち直ってはいなかったが、フェアリーボールクラブ二代目参謀としての自覚を持ち始め、最近は図書室で戦略書などを読み漁っている。実はムチャ達が去った後、テキム学園との試合を観ていた同級生から密かに告白されたが、返事は先延ばしにしている。


 ヨチはしばらく中等部の校舎に住み着いていたが、旧校舎が修復されてからはそちらに戻った。しかし、たまに呪術の臨時講師を引き受けるようになったため、生徒達が旧校舎にも遊びに来るようになりもう寂しくないようだ。更に、旧校舎には数体のサキュバスが住み着いた。彼女達によると、この学園の男子達は活きがいいらしい。


 そんなこんなで、クリバー学園は今日も平和であった。

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