祭りの後

 その後、学園祭も一悶着はあったが無事に終わり、ムチャとトロンの二人はグラウンドの隅で開かれた、後夜祭兼二人のお別れパーティーに参加していた。


 二人の元にはこれまで学園で仲良くしていた者達が次々と集まり、二人との別れを惜しんだ。二人は皆と再会を約束する握手を交わし、学園祭の屋台で余った料理をつつきながら、短い学園生活での思い出話に花を咲かせる。そして深夜を回った頃には、学園祭の疲れもあったのか、いつものメンバーを残して皆散り散りに寮やへと帰って行った。


「しかしさっきのハリーノとエスペリアは凄かったなぁ」

 実はムチャとトロンがネタを終えた後、ステージではメインイベントであるクリバー学園ベストカップルコンテストが開催された。ハニーニョとエスペリーノは冗談まじりでそれに飛び入り参加したのだが、途中で薬の効き目が解けて、エスペリアファンクラブが乱入してくるという騒ぎがあった。

 ステージ上に上がろうとするファンクラブの会員達を、エスペリアは魔法で蹴散らして言った。

「人の恋路を妬む奴らは、羊に蹴られて留年しなさい! あなた方! 私を落としたければいつでも来なさい! このハリーノよりも私の心を掴めるものがいれば、いつでもお付き合いしてさしあげますわ!」

 この一件でハリーノに危害を加えようとする者達は大人しくなったのだが、ハリーノはこれからも色々と苦労する事になるだろう。因みにネタ枠でニパとマリーナもコンテストに参加しており、会場を笑わせていた。そして、結局今年のベストカップルには、卒業後に結婚を予定しているという高等部の先輩達が選ばれた。来年もハリーノ達が出場する事があれば、もしかしたら優勝もあるかもしれない。


 それから六人は、本来女人禁制の男子寮へと忍び込み、ムチャ達の部屋でまた少し話をした。二人の学園生活についてだけでなく、自分達の将来や暴露話などの他愛ない話をしていると、誰かが寝て、起きて、また少し話をして、そんな事を繰り返した。皆疲労と眠気が蓄積していたが、このままずっとずっと話をしていたかったのだ。


 そしていつのまにか、時刻は朝方近くになっていた。


 別れの時は確かに近づいていた。

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