学園祭5

 数分後、そこには癖っ毛で眼鏡をかけた地味系女子と、サラサラ金髪でキリッと切れ目のイケメン男子が現れる。

「じゃあ、ハリーノは今からハニーニョね」

「エスペリアはエスペリーノだな」

 セイベツイレカワールにより、ハリーノとエスペリアはこれ以上無い程の完璧な変装を果たした。


「あなた、女になっても地味なのは変わりませんのね」

「エリーは男になっても綺麗だね」

 側から見ると、二人はまるでどこぞの王子様とその侍女のようである。まぁ、見た目はともかく、これで二人は安心してデートが楽しめるようになったわけだ。根本的な解決にはなっていないが。


「じゃあ、この薬ビンごとあげるから、一時間おきに飲めよ」

「一気に二錠飲んだらダメだよ。えらいことになるからね」

 ムチャとトロンはそう言い残して、学園祭の人混みの中に消えて行った。


 残された二人は、取り敢えず歩きだす。しかし性別が入れ替わったせいなのか、二人が付き合って間もないせいなのか、二人の様子はなんだかぎこちない。モジモジと歩くハニーニョが、人混みに流されそうになる。すると、エスペリーノがハニーニョの手を握った。

「エ、エリー!?」

「今は私が殿方なのですから、レディをエスコートしますわ。今度からはあなたがそうしなさい」

 そう言ったエスペリーノの顔は、ハニーニョの顔よりも赤かった。




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