ニパとマリーナのお泊まり会5
「そんな事あったんだ。なんかムチャさんらしいね」
「ニパちゃんは学園に来る前から参謀と知り合いなんだよね?」
「そだよ。ムチャさん達がいなかったら、私今頃見世物小屋に売り払われてたんだよ」
「えぇ!?」
「知らないおじさん達にスケべな見世物にされていたかと思うとゾッとするよー」
どちらかと言えばそっち方面ではなく動物園の動物扱いされていたであろうが、それは言わぬが花、知らぬが仏というやつだ。
すると、布団から顔を出したマリーナがおずおずとニパに聞いた。
「もしかして、ニパちゃんも参謀の事好きだったりする?」
それを聞いてニパはあははと笑う。
「好きかって聞かれたら好きだけど、そういう好きじゃないよ」
「そっかぁ、なら良かった。ニパちゃんは大事な友達だから、もし同じ人を好きになったらどうしようかと思ったよぉ」
「もしそうなったら私は身を引くよ。マリーナを悲しませたくないもん」
「に、ニパちゃん……」
それを聞いたマリーナの目は僅かに潤んでいた。
「でもさ、私なんかより手強いライバルがいると思うんだけど」
「え?」
「ほら、トロンさん」
「あ!」
そう、いつもセットでいるので逆に忘れていたが、ムチャの側には参謀2号、もといトロンという得体の知れぬ相棒がいるのであった。
マリーナはポワンポワンと、先日のトロンとのやり取りを思い出す。
「ねぇねぇ、マリーナちゃん」
「何ですか? 参謀2号先輩」
「新しいギャグを見て欲しいの」
「ギ、ギャグですか?」
「いくよ? スプーンがオナラした。プスーン」
「……あ、あはは」
「イマイチかぁ」
ポワンポワンが消え、マリーナの意識が布団の中に戻ってくる。マリーナにとって、トロンは良い先輩ではあるが、得体が知れな過ぎてちょっと怖い存在だった。しかし、トロンはムチャといつも一緒にいるし、男子からモテるという話も聞く。何でも告白を断る時になぜか相手にどんぐりを渡す事から、裏では「どんぐり姫」と呼ばれているらしい。
「あ、あの二人、やっぱりそういう関係なのかな!?」
「いやぁ、私的には無いと思うけど、ずっと二人で旅してるらしいからもしかすると……」
「チューとかしちゃってるのかな!?」
「うーん……もしかすると」
その頃ムチャとトロンは、学校から寮までの道を二人で歩いていた。
「いやー、学園祭用のネタ練習してたらすっかり遅くなっちまったな」
「だねー。今日私の部屋泊まってく?」
「そんな事したらレオとハリーノに何言われるかわかんねーから帰る」
「チュートロも泊まってけって言ってるよ」
「チュー」
「うわっ! そいつ刺すから出さないでくれよ!」
「ほれほれ」
「チューチュー」
「ひいっ!」
「チューチューチュー」
ある意味チューしていた。
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