クリバー学園の怪談11
トロンとヨチが保管庫を去って数分後、レオとはぐれたムチャは、レオを探して旧校舎の四階まで来ていた。
「レオー、どこ行ったんだよー」
レオはその頃三階のトイレで用をたしていたのだが、当然ムチャがそれを知るはずもない。
ムチャがまた幽霊にでくわすのではないかとビクビクしながら暗い廊下を歩いていると、中途半端に開いている、「保管庫」と書かれたプレートがかけられている扉を見つけた。
そう、トロン達はニャンピンを追いかけて行った時、うっかり扉を閉めるのを忘れていたのだ。
「ん? ここは……」
ムチャが中に誰かいないかと扉の中に入ると、部屋の中には棚から落ちたらしい雑具が散乱しており、埃が舞っている事から、先程まで誰かが中にいた様子が伺える。
「誰かいるかー?」
そう声をかけて保管庫内を見渡すが、返事が返ってくる事もなく、どうやら中には誰もいないようだ。
「みんなどこ行ったんだよ……のわぁ!」
ムチャが保管庫の奥に行こうとすると、足下に転がっていた何かを踏んづけてすっ転んだ。
「いててて……なんだこれ?」
尻餅をついたムチャは、床に尻を打ち付けた痛みに顔をしかめながら、足下に転がっていたものを拾い上げると、ムチャが踏んづけたそれは、筒状の小型望遠鏡であった。
ムチャは何気なくその望遠鏡を覗き込むが、室内が暗いために、望遠鏡の中も真っ暗で何も見えない。
「あなたの宗教何教? 双眼教! なんちゃって! ……うーん、微妙なギャグだな。あれ……」
すると突然、双眼鏡を覗いていたムチャを目眩が襲い、頭がクラクラとしてきた。
「なん……だよ……これ……」
どこか遠くから、レオの悲鳴が聞こえたような気がしたが、ムチャの意識は混濁し、そこで途絶えた。
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