クリバー学園の怪談10

「なぁ、リャンピン、歩き辛いから離れてくれよ」

「うにゃ〜う」

 レオは呪いにより猫化したニャンピンにじゃれつかれつつ、まだヒリヒリと痛む股間をさすりながら、ムチャやトロンを探して歩き回っていた。

 レオはリャンピンがなぜこうなったのかを知らないが、何やらおかしな事になっているのは理解できる。リャンピンがレオにじゃれつくなど、普段ではまずあり得ない事だからだ。

 レオとリャンピンはクラスは違えど、互いに最も仲の良い異性の友達である。何でも気兼ねなく話せるし、武術学科の授業では互いに技を教えあう事もある。

 しかし、リャンピンはレオのスケべな所が嫌いであり、レオもセクハラ行為はするが、リャンピンの過剰な反撃を何度も食らっており、互いに一線を引いている部分があった。

 だが今のリャンピンはどうであろうか。まるで主人を愛して止まない飼い猫のように、ベタベタとひっついてくるではないか。

 スケべなレオが女の子にベタベタされて悪い気がするはずもないが、リャンピンだけは別であった。普段は気丈なリャンピンに甘えるようにじゃれつかれると、恥ずかしさというよりは気味悪さすら感じる。


「みゃ〜」

「のわぁ!?」

 突如リャンピンに頬ずりをされ、レオは思わず飛び退いた。

「マジでどうしちゃったんだよ!? 呪いにでもかかったのかぁ?」

 正解である。

 ふと、じゃれついてくるリャンピンの頭のお団子が、レオの目に入った。髪を纏めて作った頭のお団子はリャンピンのトレードマークで、レオはこれまで何度もそれに触れようと挑戦してきたのだが、一度も触らせて貰えた事は無かった。

「あんまりふざけてると、これ触っちゃうからな」

 レオはそう言って、リャンピンのお団子に手を伸ばす。

「うみゃう」

 しかし、リャンピンはただレオを見つめており、嫌がる様子は無い。それどころか、むしろ触ってくれと言わんばかりに頭をグリグリとレオの胸に押し付けてくる。

「い、いいんだな」

 レオはゴクリと唾を飲み、無防備なお団子を掴もうとした。

 が。

 お団子スレスレまで伸びていた手を、レオはスッと引いた。


「……ダメだ。このお団子はこんな簡単に触れていいものじゃない。ちゃんとリャンピンが正気の時に、正々堂々触らなきゃいけないんだ」

 どうやらレオの中にもプライドが残っていたらしい。

 が。

「でも、こっちのお団子は触っても良いのじゃないだろうか。うん。そうしよう」

 レオは今度はリャンピンの胸へと手を伸ばした。

 この少年、ドスケベでドアホウある。


「フシャァァァァァァァァア!!」


 レオがリャンピンの胸に触れようとした瞬間、激怒したニャンピンの両手の爪により、レオの顔に×印が刻まれる。


「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!!」


 レオはあまりの痛みに顔面を手で覆いながら、今日何度目かの悲鳴をあげた。

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