クリバー学園の怪談6

 するとそこには、異常に青白く、なんか微妙に透けているスケルトンな女の子がいた。ムチャとレオが視線を下に落とすと、彼女には足がなく、その場にフヨフヨと浮遊している。実にテンプレート通りで、由緒正しいスタイルの幽霊である。

「こんばんは」

 スケルトン少女はニヤリと笑みを浮かべ、二人に声をかけた。


「「おんぎゃあああああああああ!!」」

 ムチャとレオはこの上なく情けない叫び声をあげて走り出す。

「出た出た出た出た! あれか!? 明らかにあれだよな!?」

「知らないけどアレだろ!」

 ムチャは校舎内をめちゃくちゃに走って逃げた。

 そしてしばらく走った後に立ち止まり、振り返る。そこにはもうスケルトン少女の姿は無かった。

「ふう、ここまで逃げたらもう大丈夫だろ。しかしいきなり出るかなぁ……あれ?」

 ムチャが隣を見ると、一緒に走ってきたと思っていたレオの姿も無かった。どうやら途中ではぐれてしまったらしい。

「嘘だろー……」

 ムチャはレオを探し、一人で校舎をさまよう事になった。


 一方その頃、ハリーノとエスペリアも校舎の中に入り、校舎内を探索していた。エスペリアは魔法で杖に光を灯しながら、同じように杖で光を灯しながら前を歩くハリーノの数メートル背後を歩いている。

「ねぇ、さっき一号と三号の悲鳴が聞こえた気がしたけど何かあったのかしら?」

「わかりませんが、もしかしたらお化けにでも遭遇したのでは……エスペリア様、危険かもしれないのでもう少し僕のそばに」

 ハリーノがエスペリアに手を差し出すと、エスペリアはそれを拒否した。

「い、嫌よ! お化けなんかよりあなたに襲われる方がよっぽど恐ろしいわ! それに、お化けなんか私の魔法でなんとでもなるんだから!」

 ハリーノは少し残念そうな表情を浮かべたが、「わかりました」と言って、再び前を歩き始める。

「ちょっと! レディーと歩く時はもう少しゆっくり……」

 エスペリアがそう言いかけた時である。


 みょーん


 エスペリアの眼前に、一匹の蜘蛛が天井から下りてきた。それを見たエスペリアがカチンと硬直する。エスペリアは蜘蛛が苦手であった。

「い、いや……いやぁあああああ!!」

 そしてエスペリアは悲鳴と共に炎の魔法を放ち、目の前の蜘蛛を焼き払った。前方にいるハリーノと一緒に。

 ハリーノは、わけもわからず炎に巻き込まれ、蜘蛛と一緒に仲良く黒焦げになった。

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