三馬鹿と合同コンパ8
ここからがこの話のオチとなる。
翌週の休み、ハリーノとエスペリアはデートをした。ムチャとトロンとレオとリャンピンの四人は当然のように尾行を計画したのだが、尾行開始早々にハリーノの感知魔法に引っかかり、尾行を断念した。
ムチャとレオは部屋で残念会の準備をしていたが、ハリーノは帰って来るなり二人にこう宣言した。
「僕はもっとしっかりした男になるよ!」
そしてハリーノは唐突に腕立て伏せを始め、十回目でゼーゼー言いながら断念すると、「明日は十一回やるよ……」と言った。
デート中に何があったのかはわからないが、どうやら最悪の結果にはならなかったらしい。
ムチャとレオはなんだか面白くなくて、ハリーノのために買っておいたケーキを二人でもちゃもちゃと食べた。
そしてこちらは女子サイド。
「で、どうだったの?」
エスペリアとハリーノがデートをした日の夜、トロンとリャンピンはエスペリアの部屋を訪れた。
エスペリアは二人を部屋に招き入れたが、どこかボーッとしており様子がおかしかった。
「え?」
「デートだよ、デート。まぁ、エスペリアは色んな男子とデートしてるだろうし、ハリーノが相手じゃ退屈だったかもね」
リャンピンがそう言ってエスペリアのベッドに腰掛けると、エスペリアはふるふると首を横に振る。
「え? 意外と楽しかったの?」
エスペリアはまた首を横に振る。
「ねぇ、それ何ふるふるなの?」
リャンピンが問うと、エスペリアはボソッと答えた。
「始めてでしたの」
「え?」
「実は、男子とデートするの始めてでしたの」
リャンピンは「またまたご冗談を」と、言おうとしたが、思い返すと確かにエスペリアは男子にモテるが、誰かと付き合っただの、デートをしていただのという話を聞いた事がない。
「あらー」
リャンピンは驚きの表情を浮かべる。
するとエスペリアはリャンピンに突然掴みかかった。
「ねぇ!! 私いつも通りの私でいられたかしら!? 気高く誇り高いエスペリアでいられたかしら!?」
エスペリアはリャンピンの襟を掴み、ガクガクと揺さぶる。
「グェ……し、知らない……知らないよぉ!!」
エスペリアはリャンピンを解放すると、ベッドにダイブして枕に顔を埋めた。そしてジタバタとバタ足をする。
「何であの時勢いでデートを受けたのかしら! うあー!! バカ! 私のバカ!」
「あの時凄くカッコつけてたもんねぇ……で、初デートはどうだったの?」
「おーぼーえーてーいーまーせーんーわー!!」
トロンは密かにエスペリアの記憶を魔法で再生しようとしたが、エスペリアはちゃっかり魔弾きの勝負パンツを着用していたために叶わなかった。
デート中に何があったのかは闇の中であるが、どうやら脈は途切れていないようだ。
頑張れ、ハリーノ。
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