三馬鹿と合同コンパ7

 エスペリアに見つめられ、ハリーノはハッと正気に戻る。するとその顔はみるみるうちに青ざめていった。

「あ、え、僕は何を……」

 ムチャとレオは顔に手を当てて天を仰ぐ。

 二人の頭の中では、今夜のハリーノ失恋パーティの準備が始まっていた。そしてこれからエスペリアがハリーノに浴びせる暴言から、どうやってハリーノの心を守ろうかと考えていた。

 しかし、次にエスペリアが口にした言葉は意外なものであった。

「あなた、この状況で私をデートに誘うなんて度胸あるわね」

「え?」

「いいわよ。デートしましょう」


 ボガン!


 ムチャとレオの脳みそが予想外の事態に爆発した。

 トロンはパチパチと瞬きを繰り返し、リャンピンは口からボタボタと紅茶を垂れ流している。

 しかし、最もパニックになっているのはハリーノであった。

 ハリーノは餌をねだる金魚のように口をパクパクさせながら、目を白黒させている。

「勘違いしないでちょうだい。あなたのあまりの馬鹿さと勇気に敬意を評して、一度だけデートしてあげるだけよ。それにあなたみたいなタイプとデートした事無いし。それから……」

 エスペリアは手を伸ばし、ハリーノのメガネを取った。

「デートの時はこの野暮ったいメガネを外してきてちょうだい。ほら、やっぱりあなたはメガネが無い方がいいわ」

 ムチャとレオは意識した事が無かったが、言われてみればメガネを外したハリーノは地味にイケメンであった。

「ねぇ、何か言ったらどうかしら? やっぱり止める?」

 エスペリアのその言葉で、どこかにスッ飛んでいたハリーノの意識が戻ってきた。

「い、いえ! デート……するです!!」

 こうして、ハリーノはエスペリアとデートをする事になった。


「なぁリャンピン。お前、そのお団子頭やめたらデートしてやってもいいぜ」

「お団子は私のアイディンティティよ!」

 レオはリャンピンに普通に殴られた。


 そしてムチャはさり気なく、トロンがコンパという単語を忘れてくれることを祈った。

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