三馬鹿と合同コンパ4
「で、みんな学年違うけど、三人はどういう関係なんだ?」
どう考えてもマリーナは自ら進んでコンパに来るようなタイプでは無い。しかし、「何でコンパに来たの?」とは聞きづらいので、ムチャは遠回しに聞いてみた。すると、メリッサが答えた。
「あぁ、私達みんな中等部第二女子寮なのよ。私が新聞部のヘンリダ君から頼まれて、寮にいた普通っぽい子と大人しめな子を連れてきたってわけ」
「なるほど」
それは納得できる答えだ。先輩であるメリッサに頼まれればマリーナは断る事はできまい。
そして男子側も簡単に自己紹介をして、楽しい楽しいコンパが始まった。
コンパが始まって十分。ムチャはこう思っていた。
(こいつら全然喋らねぇなぁ……)
と。
ムチャは芸人という事もあり、女子三人とも割とペラペラ話すことができるのだが、レオとハリーノはさっきからコーヒーをチビチビ飲むばかりで殆ど会話に参戦して来ない。
ムチャはレオに話を振ってみる事にした。
「いやー、男子寮って男ばっかりでむさ苦しくてさ、それでレオが女子とも仲良くしたいって言ってコンパをセッティングしてくれたんだよ、な、レオ?」
「え? は? いや、俺は女とかそんな、アレだし……」
レオはカッコつけて、そっぽを向きながらすでに空になったコーヒーカップを口に運ぶ。
(こいつ……!!)
ムチャはややキレそうになりながら、今度はハリーノへと話を振る。
「ハリーノはすげー読書家なんだよ。面白い本とか知りたかったらハリーノに聞いたら教えてくれるぞ」
ムチャがそう言うと、マリーナが食い付いた。
「へぇー! わ、私も本好きなんですけど、何かオススメありますか?」
(いいぞマリーナ! さすが参謀二代目!)
すると、ハリーノがきょどりながら口を開く。
「……ぁ……っ……と……かなぁ」
「え? すいません、もう一度」
「……てん……か……め」
「え?」
「……っ…っ…め……ん」
「えーと、あ、あはは」
ハリーノの声が聞き取れずに、マリーナは苦笑いを浮かべる。
(こいつ、声小せぇ!!!!)
ムチャは激しくツッコミを入れたい衝動に駆られた。しかし、場の空気を悪くしてはいけないと必死に堪える。
ムチャと知り合いのマリーナはともかく、普通女子のフラペと、オシャレ女子のメリッサは、早くも退屈そうな顔をし始めている。マリーナもその空気を敏感に感じ取り、「参謀! この二人どうしたんですか!?」と目配せをする。しかし、レオとハリーノのポンコツっぷりはもはやムチャにはどうしようも無かった。
その時である。
カフェの入り口に、ムチャに見覚えがある三人の人影が見えた。
ムチャの顔がサァッと青くなる。
「私ここのカフェ入るの初めて!」
「ここはケーキがとっても美味しいのよ」
「ハンバーグは無いの?」
その三人とは、リャンピンとエスペリアとトロンであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます