三馬鹿と合同コンパ3

 次の休日、三人は待ち合わせの十分前に、待ち合わせ場所である学校の敷地内にあるカフェにやってきた。三人は休日であるにも関わらず、なぜか制服を着ている。実は昨日の夜、あれやこれやと服装について話し合ったのだが、皆お洒落着を持っておらず、結局制服に落ち着いたのだ。


 三人がオープン席に着いてすぐに、ウェイターが注文を取りに来る。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 ウェイターの問いかけに三人は声を揃えて、「「ホットコーヒーをブラックで」」とキリッとした顔で答える。

 ウェイターはほんの少し驚いた顔をして、「かしこまりました」と言うと、メニューを下げて店内に去って行った。

 レオは訝しげな顔で「お前らブラックコーヒーなんて飲むのか?」と言ったが、二人が「お前こそ」という顔をしたので、それ以上何も言わなかった。

 数分後、ウェイターが盆に載せたホットコーヒーを持ってくる。ウェイターは何も言わなかったが、砂糖とミルクの入ったポットをテーブルの中心に置いていった。


 三人は互いに顔を見合わせ、人生初であるブラックコーヒーにチャレンジする。

「……うん、やっぱりコーヒーはブラックに限るぜ」

「か、香りがいいね。ここのコーヒーは」

「なんていうか、うん、苦味が苦いというか苦さが良薬口になんとやらだな。でももう少しこう、アレだな」

 ムチャがポットから砂糖とミルクをたっぷり入れると、レオとハリーノも何も言わずにそれに準じた。


 三人が甘〜くしたコーヒーにホッとしていると、待ち合わせの相手らしき女子三人がやって来た。女子三人はレオ達を探しているのか、店内をキョロキョロ見渡している。レオが声をかけるかどうかあたふたしていると、先に向こうがこちらを見つけ、声をかけてきた。

「やっほー。コンパの相手って君達だよね?」

「あ、はいっ!」

 レオは異常に緊張した面持ちで、背筋をシャキンと伸ばして返事をする。

 声をかけてきた女子はどうやら歳上らしく、大人びた印象のオシャレな茶髪の女子であった。

 因みに彼女はレオが希望した「お姉さん系でオシャレな女子」である。ヘンリダはちゃんと要望に応えてくれたのだ。


 女子三人が席に着き、注文が終わると、早速自己紹介が始まった。

「私メリッサ。魔法学科中等部の三年。よろしくね」

 メリッサはそう言って茶髪の長い髪をかきあげる。彼女はメイクもバッチリで、あか抜けており、レオ達には彼女が一個上にはどうしても見えなかった。


「じゃあ、次は私か。私はフラペ。武術学科の

 二年。授業で一緒になった事はあるけど、話すのは初めてだね」

 続いて自己紹介したフラペは、ムチャとレオと同じ武術学科の二年であった。彼女はポニーテールの似合う爽やかな感じの女子である。これはムチャの希望した「変わり者じゃない子」であろう。確かに普通っぽく、裏表のなさそうな印象を受ける。


「じゃあ、次は私が……」

 そう言っておずおずと自己紹介を始めた彼女を、実はムチャはさっきからずーーーーーっと凝視していた。別に彼女がめちゃくちゃ好みだとかそういうわけではない。

 先程自己紹介したフラペは、「あぁ、そんな子いたなぁ」レベルの顔見知りであったのだが、今自己紹介を始めた彼女はガチの知り合いだったのだ。

「魔法学科一年のマリーナです。あの……もし違ったら失礼なんですけど、参謀ですよね?」

 もしも何も参謀一号御本人である。

 ムチャは「いかにも」と呟き、渋い顔で頷いた。

 なぜマリーナがこの場にいるのか全くもって謎であったが、その日のマリーナは、ワンピースにカーディガンというコーディネートで、頭にはちょこんとリボンをつけていて、練習の時よりもずっと可愛らしかった。少々イモっぽい事には変わりなかったが。

 因みに彼女はハリーノの希望した「清楚で可愛らしい子」である。ハリーノはエスペリアに憧れている筈なのに、なぜそのような条件の女子を希望したのかは全くもって謎だ。


果たして、この合同コンパの行く末は……

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