トロンと召喚魔法4

 その翌日、トロンはたまたま昼食時に食堂で一緒になったムチャに、チュートロを召喚して見せた。チュートロを見たムチャは目を丸くする。

「これが、召喚獣?」

「うん」

「しょ、しょうか……ぷっ……くくっ……だっはっはっはっは!!」

 そしてムチャは、突如大爆笑を始めた。

「しょ、召喚獣が、こんなちんまいハリネズミって……だっはっはっは!」

 ムチャは他の生徒達から見られているのにも関わらず、椅子から転げ落ちて、食堂の床を笑い転げる。

「チュートロをバカにしないで」

 チュートロを笑われたトロンは、頬を膨らませてムチャを睨みつけた。当のチュートロは気にせずにムチャの食べかけのサンドイッチをモムモムと食べている。どうやらチュートロはトロンに似て食いしん坊なようだ。

「だってさ、召喚獣って普通ドラゴンとか、魔獣とかもっとカッコイイもんだろ? それがハリネズミって……はっはっは!」

「チュートロは小さいけど強いんだよ」

「そんなバカな事あるかよ。ハリネズミだぞハリネズミ。トゲタヌキの方がまだ強いっての、くくくくっ」

 ムチャは相変わらず腹を抱えて涙まで流して笑っている。

「もういいよ。おいでチュートロ……あれ?」

 トロンがふとテーブルを見ると、つい今までテーブルの上でサンドイッチを食べていたチュートロが消えていた。

「あれー? チュートロ、チュートロどこー?」

 トロンが辺りを見渡すが、チュートロの姿はどこにも見当たらない。

「どっか行ったのか? まぁ、そのうち出てくるだろ。あー、腹痛い」

 ムチャが涙を拭きながら床から立ち上がり、椅子に座ろうと腰を落としたその時。


 ズプッ


 ムチャのお尻に何か鋭利なものが突き刺さる感触があった。

「あ、チュートロ」

 ムチャが座ろうとした椅子の上では、チュートロが針を逆立てていた。

 チュートロの針が尻に深々と突き刺さったムチャの顔が、みるみるうちに青くなる。


「か……は……あんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」


 チュートロをバカにしたムチャは、今度は悲鳴をあげながら床を転がり回る羽目になったとさ。

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