登校
翌朝、ピカピカのローブに着替えて食堂で朝食を終えたムチャは、レオとハリーノと共に学校へと向かう。
中等部の第一男子寮と第一女子寮の分かれ道にきた時、その光景にムチャは目を奪われる。
「うはぁ! すげぇ」
ムチャの上空を、杖や箒に跨った魔法学部の生徒達がビュンビュンと飛んでいくのだ。中には板のような物を浮かせて、その上に立って飛んで行く者もいる。
「俺もこの学校に初めて来た時は驚いたぜ」
「武術学科にも通学の為に飛行魔法を習う奴もいるんだ」
寮から学校の距離がやたら遠いのは、学校の敷地が広いからという事もあるが、魔法学部の生徒達は飛行魔法で登校すれば良いし、武術学科の生徒達には良い体力作りになるからだそうだ。
ハリーノもいつもは箒で登校しているらしいが、今日はムチャ達に合わせて徒歩で登校してくれるらしい。
三人が阿呆みたいに空を見上げ、箒女子達のパンチラを探しながら歩いていると、ムチャは前方にトロンの姿を見つけた。トロンの隣には頭をお団子にした女子もいる。
ムチャは声をかけようと思ったが、レオとハリーノの手前なんとなく恥ずかしくて迷っていると、レオがお団子頭の女子に声をかけた。
「へい! リャンピン!」
レオはリャンピンに駆け寄り、頭のお団子にタッチしようとした。すると、リャンピンはレオの手を素早く躱し、レオの背後に回り込む。
「功夫が足り無いわね。おはようレオ」
レオの肩をポンポンと叩き、リャンピンはにこやかに挨拶をした。
「相変わらず隙がねぇな。あ、こいつな、今日から武術学科に転入してくるムチャっていうんだ。ムチャ、こいつは武術学科のリャンピン」
レオは同じ学科のリャンピンに、ムチャを紹介しようとしてくれたのだ。ムチャは「よろしく」とリャンピンに挨拶をし、握手を交わした。
するとリャンピンは、隣に立つトロンの肩を叩く。
「この子も転入生なのよ。魔法学科のトロンちゃん」
トロンはレオとハリーノにペコリと頭を下げる。
レオとハリーノはトロンの姿に見覚えがあった。
「あ、確かムチャの相方の子だよな!」
「食いしん坊の」
「天然ボケの」
「すぐビンタする」
「ムチャからお噂はかねがね聞いてるぜ」
トロンはムチャをジローッと睨みつける。
ムチャは昔ながらのすっとぼけスタイル、斜め上を見て口笛ピーピーを見事にやってのけた。
しかし、トロンはまさか自分のお尻に定評がある事までは知らない。
「はじめましてムチャ君」
トロンは爽やかにそう言うと、リャンピンの手を引いてスタコラと足早に去って行った。
レオとハリーノは、ポカンと口を開けてアワアワしているムチャを見てニシシと笑った。
その上空を、長い箒に2ケツして、後ろに座るエスペリアがお茶を飲みながら優雅に飛んで行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます