クリバー学園
クリバー学園は、知・魔・武にのいずれにおいてもハイレベルな教育を生徒達に施す教育機関です。
五百ヘクタールの広大な敷地には、校舎、運動場、魔法演習場、武道場、生活施設などが設置されており、湖や森などの自然に溢れた環境の中であなたは様々な事を学ぶでしょう。
生徒数は現在約五千名が在籍しており、いずれも才能溢れ、品方向性な生徒達です。彼等はこれから入学するあなたの良き友となり、彼等と過ごす学校生活の中で、きっと生涯続く友情が生まれる事でしょう。
さぁ、あなたもクリバー学園で若き才能を開花させてみませんか? クリバー学園はあなたの入学をお待ちしております。
クリバ〜♪ 学園〜♪
「「へぇ〜」」
アレル闘技場でのライブの翌日、マニラに事務所に呼び出されたムチャとトロンは、マニラが差し出した「クリバー学園の紹介」の冊子から飛び出した魔法ホログラムのお姉さんのお話をまじまじと聞いていた。
「決まりだな!」
「決まりだね」
「僕も」
「私も」
「「進学するならやっぱりクリバー学園!!」」
二人は笑顔で元気よく腕を天井に突き上げる。
「いや、そういうのはいいわよ」
マニラはゲンナリとした顔でしっしっと手を払った。
「で、この学校がどうしたんだ?」
「ほら、昨日話したでしょう。あなた達の足取りを消せる場所があるって」
「うん」
「それがここよ」
マニラはムチャが手にしている冊子をトントンと指で叩いた。
「学校で何するんだ?」
「入学するのよ」
マニラの言葉に、二人は驚きのあまり目をパチクリとさせて顔を見合わせた。
「いやいやいやいや、何で学校だよ!」
「あなた達を狙っている連中もまさかあなた達が学校に生徒として潜り込んでるとは思わないでしょう?」
「そうだろうけど!」
「ここは学校自体が一つの町みたいになっていて閉鎖的だから情報も漏れ辛いし、木を隠すなら森の中って言うじゃない」
「でも急に言われても……なぁトロン」
「私が本校に入学したいと思ったのは校風がすごくアレだからです」
「えぇ!?」
トロンはなぜかノリノリであった。
トロンの様子を見てマニラは頷き、話を続ける。
「この学校の役員に私の姉がいるのよ。話は通しておくから、短期転校という事でしばらく学校生活を謳歌してきなさいよ」
ムチャは腕を組み、首を傾げて「うーん」と唸り声をあげた。
「でも、お笑いができないんじゃなぁ」
「あ、そうか」
二人の行動の一番の優先事項は基本的に「お笑い」である。たとえ暗殺者に命を狙われていようと、魔王軍に遭遇しようとそれは譲れない条件であった。
「あんた達ねぇ……」
二人のお笑いバカっぷりにマニラは頭を抱える。
そしてふと思い出したように言った。
「そうだ! この学園、数ヶ月後に学園祭があるのよ」
「学園祭って何だ?」
「ようは学校のお祭りよ。この学園の学園祭は大規模だから、毎年近隣の町から沢山の人が訪れるわ。ステージもあるから、そこでお笑いをしたらいいじゃない」
それを聞いて二人の食指が大きく動いた。
「この学園、生徒数何人て言ったっけ?」
「確か五千人」
「五千人かぁ……」
二人の頭上にポワンポワンと白いモヤが浮かぶ。モヤの中では五千人の観客を前にして、二人がステージに立って漫才を披露していた。
「いいな」
「いいね」
「「お笑いやるならやっぱりクリバー学園!!」」
二人は元気よく腕を天井に突き上げる。
こうして、二人のクリバー学園への短期入学が決まったのであった。
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