回想1

 むかーし昔、世界を作った神様には四人の娘がいた。


 ある日、四人の娘達が世界を見ていると、ただ大地を彷徨うだけの奇妙な動物を見つけた。


 娘達はなぜかその動物を気に入り、四人それぞれの力を分け与えた。


 長女は喜の感情を

 次女は怒の感情を

 三女は哀の感情を

 四女は楽の感情を


 四つの感情を与えられた動物は「人」となった。


 娘達が分け与えた力は「人」から溢れ、他の動物にも分け与えられた。


 そのうち負の感情を濃く分け与えられた生き物が「魔物」となった。


「魔物」はより良い感情を持つ人間達を羨み、人間達を襲うようになった。


 娘達は人に感情の使い方を教え、人はそれを魔物に対抗する術とした。それが心神教の使う感情の術や技……


「って、聞いてるかムチャ?」

「ごめん半分くらい寝てた。ケンセイの話長いんだもん」

 ムチャは馬車の荷台に寝転び、眠そうに目をゴシゴシと擦った。

「とにかく、それが俺達が使う感情術の根源であり、今向かってるのは神の四人の娘を崇める心神教の本拠地なんだ」

「なぁケンセイ! それより一発ギャグしりとりしようぜ!」

 ケンセイと呼ばれた男はやれやれと首を振った。


「貴様、俺に一発ギャグしりとりで勝てると思っているのか?」


 この男もまた、芸人であった。

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