ゴロツキ達のアジトにて

「何?半獣のガキを取り逃がした?」

 そう口にした大男は酒瓶の酒をグビリと飲み干した。

「すいませんゲニルの旦那、えらい強いガキ共が邪魔に入りまして」

「それでおめおめ帰って来たってわけか」

「すいません! すいません旦那! 次こそは絶対に捕らえてみせますから!」

 手下は地に頭をつけて謝罪を繰り返す。

「もういい、お前に用はない。ゆっくりと休ませてやろう。ゆっくりとな」

「旦那! どうか命だけは!」

 男は覚悟して目をつぶった。

 一秒……二秒……三秒

 しかし何も起こらない。

「なんだお前、まだいたのか?」

「え?だって旦那……」

「ゆっくり休めと言っただろう。おい、誰か肩を貸してやれ」

「い、いえ、大丈夫です」

 ゲニルは部下には優しい男だった。

「しかし俺の邪魔をするやつは許せんな」

「あいつら、ムチャとトロンと名乗っていました」

「ムチャとトロンか、俺の邪魔をするとどうなるか教えてやる」

 ゲニルは再び酒瓶に口をつけた。

「ん?もう空か、おい! 誰か酒買ってこい! 釣りは取っておけ」

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