少女の祈り
神様、どうか人々を貧困の苦しみからお救いください……
少女は貧民街にある小さな教会で祈りを捧げていた。昼は花を売り、その僅かなゴールドで貧民街の人々を助け、夜はゴロツキ共に追われる生活を続けている少女の体や服はボロボロになっていた。しかしそれでも少女の目は慈愛の光で満ち溢れていた。
そこにどこからか少女の居場所をつきとめたゴロツキ共が現れた。
「追われているくせにこんな所で祈りなんか捧げやがって馬鹿なガキだぜ」
「ガキとはいえ半獣の化け物だ、用心しろよ」
武器を手にした男達はじわりじわりと少女を追い詰める。
「止めて……来ないで……もう誰も傷つけたくないの!!」
少女の叫びは男達には届かない。
「安心しな、傷付くのは俺達じゃ無くてお前なんだからなぁぁぁあ!!」
男達が少女に襲いかかる。
「いやぁぁぁぁぁあ!!」
少女の体がめりめりと獣に変わっていく。
爪が伸び、牙が生え、体毛が身体を覆う。
神様……助けて……
少女が神に祈ったその時、教会の入り口に二つの人影が現れた。
「やぁやぁ皆様お集まりですね!!」
男達は一斉に振り返った。
「なんだぁ?てめえら」
そこにいたのは一組の少年と少女であった。
「本日は我々ムチャとトロンの爆笑お笑いライブにお越し頂きありがとうございます!!」
「楽しんでいってね」
そう言うとムチャとトロンは飛び出した。
「少女が貰うと嬉しい物はなーんだ?」
トロンの杖から光の縄が飛び、男達の一人を縛り上げる。
「アクセサリーですかね!?」
ムチャの剣が剣を交えた男を壁まではじき飛ばす。
「ひょうしょうじょー。なんちゃて」
襲いかかってきた男に杖が触れると、電撃が走り相手を痺れさせた。
「最近暴漢がよく出るらしいですよ!」
剣を地面に突き刺すと、その衝撃で数人の男達が転倒する。
「寒い季節には嬉しいね」
転倒した男達を光の縄が次々と縛り上げていく。
「それは防寒着でしょうが!!」
振り下ろした剣の腹が最後に残った男の頭を叩き、白目を剥いた男が仰向けにひっくり返った。
「どうも」
「「ありがとうございました」」
少女は呆然としたまま思った事を口にした。
「あなたたちはいったい……」
トロンは杖をくるりと回し光を消した。
「あれ?忘れちゃった?」
ムチャはシャキンと剣を収める。
「お笑いコンビです!」
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