第2話 不倫

俺「誕生日おめでとう」


えみ「ありがとう、しゅんちゃん」


俺達はつきあい始めて3ヶ月くらいたっていた。彼女の誕生日に2人での温泉旅行。初めての誕生日プレゼントだしサプライズ好きの俺は気合いが入っていた。


旅館の食事でケーキのお祝いをした後俺達は部屋に戻った。ちょっと一息ベッドでゴロゴロし始めたとき、「ピンポーン」


えみ「なに?だれ?」


俺「わかんない。えみ出てよ。」


がちゃっ。


旅館の人「加藤さまからサプライズでお誕生日のお花です。お誕生日おめでとうございます。」


真っ赤なバラのプレゼント。本数は24本。


俺「24本のバラはいつもあなたを思ってますって花言葉があるんだよ。」


えみの目はうるんでいた。


・・・


行為を済ませて抱き合って寝る彼女。


よし、こっからが本番。俺のサプライズはまだ終わらない。全て計画通り。俺は根っからのサプライズ好きだ。もちろん相手の喜ぶ顔のためにやってるんだがちょっとサプライズしてる自分に酔っている部分もあった。彼女とこんな風になる予定じゃなかった俺は久しぶりに再会した食事で俺のサプライズ王子っぷりを全部話していた。ネタがつきてあせった。。

必死に考えて思いついたサプライズはこう。


寝ている彼女の左手の薬指にペアリングをはめる。その後起きたときには指輪がついててびっくりで感動。


これは中々ハードルが高いが成功したときの印象はおっきい。


彼女は旦那とは一緒にいてかなり長いが飛び回っている旦那だから記念日や誕生日、お祝いをしてもらった記憶がないらしい。


こういう関係だからこそ彼女を喜ばせたくて頑張るおれ。


よし。彼女は寝ている。さっきトイレに行くふりして右手に握りしめてきたリングを後はつけるだけ。


最高のポジションに彼女の左がある。


・・・スーー。


完璧。


はいった。


ドキドキ。


ばっちりだ。後は彼女を起こすだけ。

朝じゃあちょっと感動が薄まる。なんとか夜中のうちに起こしたいところ。


とりあえず自分のからだを揺すってみる。


くしゃみをしてみる。


頭をなでてみる。


・・・・


えみ「・・・起きてるの?」


俺「起きてるよ。よく寝てたね。」


えみ「寝ちゃってた。」


俺「鼻かゆいからかいてー」


えみ「??はい」ポリポリ


えみ「!?ん?なにこれ?!」


指輪に気付いた。まぁ気持ちのいい反応だった。過去1番のサプライズだな。好きな女を喜ばすのはいいもんだ。


彼女は跳びあがり枕元に薄暗くついているライトの明かりをおもいっきりひねり左手の指輪をみた。


えみ「うそでしょ。すごく嬉しい!ありがとう!」


俺「喜んでくれてよかったよ」


俺の分をひっぱりだしてきて2人のペアリングを一緒に確認した。ラブラブだなー。


最初は人妻。俺は遊びのつもりだった。


多分この頃もうかなり彼女を本気で好きだったんだと思う。サプライズもほんとに彼女の喜ぶ顔を見れて良かったと思った。


彼女は広島から往復7時間かけてよく俺に会いに来てくれた。


彼女は仕事も忙しく3週間や一ヶ月会えないときもあったが1週間たたずに会いに来てくれたり日帰りで会いに来るときもあった。


純粋で仕事に一生懸命で美人な彼女に俺は夢中だった。


正直まじめとはほど遠い俺は浮気をしないことの方が珍しかったが今回は違った。


他の女と遊ぶ気にもならず、1度も浮気なんてせず彼女と会える日を楽しみに待っていた。


毎日3時間電話をした。


こっちに来たときは何日か一緒にいれるときもあった。


あっという間に半年が過ぎ、彼女のいつも降りる新大阪の駅の近くに2つ目の家を借りた。


2人の愛の巣。


いつもホテルばっかりだったから家はすごく落ち着き、いつも広島の自宅で不眠気味な彼女は俺と寝る新大阪の家ではよく眠った。


早く寝すぎて俺が不機嫌になることもあったくらい。


ふたりはうまく行ってた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

記憶屋~忘れたい過去はありますか?~ @shungen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る