083:収納と小用

「また夜の討伐か。精が出るな」

「おかげで見回りも楽だが、気を付けてやれよ」


 南の森へ向かう途中で、巡回の砦兵と挨拶を交わして通り過ぎる。街のごく周辺の討伐は彼らの仕事でもあったようだ。

 まあ、雑用だもんな。金になりにくい作業は、ギルド職員と砦兵で片手間に片づけていたらしい。

 それを、今後は人族冒険者へ斡旋する道を探っているということなんだろう。


 人手が足りないというのは、中ランク場所へ赴いたことで肌で感じることはできたとは思う。

 でもな、これまでどうにか遣り繰りしてきんだろうに、たまたま俺がやってきたからといって今さら新たな試みなんかする必要はあるか? 消極的な解決方法だと思うし。まあ、あれこれやった末なのかもしれないが、俺には知りようもないか。


 煩雑になっていた業務内容を分業してすっきりできるなら、ギルド職員も空いた手を、より重要な作業に割り振れるのは想像できる。


 南の森の際まで到着する。俺は俺のできることに集中だ。殻の剣を握ると、森の暗がりを睨みつけた。




 一通り藪をつつきながら草原側まで到達した。体感だが大した時間はかかっていない。

 昼間に辿るルートと行動を繰り返したことで、時間の進みは把握できるようになっている気がしないでもない。

 後は疲労感で判断して、適当な時間に切り上げるだけだ。さすがに昼夜と働き尽くしだ。夜も遅くなってくれば、どんどん手足が重く感じられる。ぎりぎりの線を探るのも課題の一つだが、その手足が怠くなったところで切り上げる判断力を鍛えた方がいい。どうやって鍛えるんだよ。


 とにかく、動けるぎりぎりの線というのも、日に日に伸びているような気がして、これがまた撤退時を難しくさせている。鍛えたと実感できるのが持久力だけなのがつらい。


 周囲を確認しつつ、森沿いを草原側へと進む。

 また分裂ケムシが来ないかと、確認するためだ。ケダマに変化してすぐ潰せる機会だし、見逃す手はない。

 湖へ向かう途中で見たケダマの大群。あれが毎日なら、頻繁に分裂しているはずなのに見かけないのは、暗がりに潜んでいる間に分裂していると予想はつく。

 どの魔物が何になるかの法則は知らないが、もしケダマがカピボーに分裂するなら、カピボーの多さも納得できる。その代わり、レベル4のケムシダマからレベル1のケダマが四匹生まれるんじゃという推測は外れってことになるけどな。


 膝の高さほどの草が風に揺れる中に、じっと目を凝らすが、何の影も形もない。

 そういえばケムシダマも、普段は花畑周辺にいるんだから、ほとんどはあの巨大な花の中に潜んで分裂しているのかもしれない。


「あれはケムシ野郎の気まぐれだったか……」


 待ちに徹して討つほどの獲物でも報酬でもない。大人しく来た道をやや戻り、木々の陰へと入り込んだ。

 周囲の魔物チェックを済ませてコントローラーを取り出すと、自然と顔がにやける。


「今日はマグの溜まりが良かったからな。ちょっとツラを貸してもらおうか」


 まずはレベルの確認だが、しっかりレベル25と変化していた。


「うんうん。書記ご苦労さん」


 偽マグの貯蓄は一万超えてるし、検証には十分。

 もう少し貯めた方が余裕をもって試せるが、五千だろうが一万だろうが一瞬で枯れる。ちょっとした確認だけなら、入るなり使った方がいい。どのみち検証と称した遊びも、これで最後だ。えー他に忘れてないかは後で考えよう。


 はい、ちょっとした本日の検証は? ずばり、収納です!


 辺りを見回し、特に悪くもない喉の調子を確かめる。どうしても恥ずかしくて言い淀むが慣れないとな。あっ、今日は本体を掴んでおこう。


「あーこほん……ヴリトラソード」


 刃が出るや、すかさず念じる。

 収納! 消えろ! 収まれ!

 やっぱ念じるのは駄目かよ。


「その偽剣しまえよ! 消えろって! 収納! 解除!」


 どの言葉に反応したのか、青い刃は掻き消えた。無駄に集中して体温が一気に上がった。


「すっげ焦る」


 やっぱり余裕を持った方が良かったか?

 はたして、言葉に反応したのか燃料切れかと数値を再確認。


『レベル25:マグ34/87936』


 お、おお、余ってる! 成功してるよ!


「でも、やっぱ喋るのか」


 漫画やゲームで必殺技を叫びながら繰り出すのは、熱いし格好いいやんと思っていた。現実はかくも恥ずかしいものよ。

 コントローラーをまじまじと見る。任意で刃の抜刀納刀ができるのは便利だよ?


「だからさ。なんで柄まで消えるんだって」


 どこか欠陥がある残念なところは、持ち主の属性に引きずられているせいかもしれないな!

 そもそも見た目がどうあれ、武器なのかどうかも謎だが。


「帰ろ」


 次は何を試そうかと考えつつ、宿へと戻った。



 ◇



 目覚めて、欠伸をしながら階下へ向かう。

 食事しながら、今日は洞穴を目指すと予定を立てると、昨日の買い物へと考えは移った。


 結構な買い物をしたが、それでもまだ余裕がある。

 しかし、いざ余裕ができてみれば、何も考えずに貯蓄へ回して良いものかと思い始めていた。しばらく大きな出費は防具だけと考えていたところに、あれこれ買い足すはめになったことで、もっと重要なところを見極めるべきではないかと余計な思考が囁くのだ。

 何が必要でそうじゃないのかも、まだまだ知らないことだらけなんだよな。


 散財だったとは思わないが、必要だし安いからとちょこまか買っていたら、すぐにも文無しになりかねない。かといって、いつどんな出費があるか分からなくとも、数か月先ていどなら生活なんかの状況が大きく変わるとは思えないけどさ。

 そこに大枝嬢から聞いた賃貸契約の保証金が、他の街よりも多めだという理由が浮かんだ。

 ――仕事のできない状況。

 この街では、俺こそが考えるべきことだ。


 いつものように壁の裏から出てきたおっさんを見るなり、思い付きを口にしていた。


「なあおっさん。家賃を三回分、まとめて払っておきたいんだけど、いいかな」


 十日で四千マグの契約だ。一月分の感覚のつもりで、三回分と言ってみた。それに一月分なら、他に急遽出費の予定ができたとしても対応できる範囲だ。

 数日前に二度目の支払いをしてあるので、ちょっと期間が長すぎるか?

 まだ依頼の報酬が入るからと、いい気になってしまっているのかもしれない。


 俺の言葉を聞いた途端に、固まっていたおっさんは、ひょっとこ顔を懸念を含んだものへと変えた。

 スカンピンがいきなりまとめ払いを申請。怪しいよな。


「悪いことをしたわけじゃないから」

「そりゃ分かってるよ。この街で悪行なんざ、瞬く間に知れ渡っちまう」


 あー確かに。


「臨時の依頼があって、向こう三回分の余裕があるんだ。手元に置いておくと無駄遣いしそうだしさ。受け取ってくれないか」


 今回だけかもしれないしと添えると、おっさんは疑わしげにマグ読み取り機を引っ張り出した。


 余裕がある時には、確実にこれだけは要るっていうもんに使っておくに限る。

 真の小心者はな、大金を手に入れると喜ぶどころか落ち着かなくて手放したくなっちゃうもんなんだよ。


 一応、それだけでもない。

 エヌエン一家には世話になってばかりだ。いつか恩を返せるときは来るんだろうか。俺のことだから難しいかも。

 そう思ったら、まとめ払いして安心してもらうのはどうかと思ったんだが、どうやら喜んでもらえたようだ。

 おっさんはタグ読み取り機の盤面を確認し、ようやく笑顔となった。


「おうおう頑張ってるな。ありがとさん! 実は、近々大きな買い物を考えてたんだがよ。これで算段がつく」


 おっさんは、珍しくバツが悪そうだ。

 懐具合を心配されて断られるかと思っていたら、入り用なときだったのは良いタイミングだった。しかし、このチャンスを逃しはしない!


「こっちこそ。いい宿に安く泊めてもらって助かってるし。そう、特に、晩飯の肉が美味いんだよなあ。野菜の中から探し出す肉がさ!」

「なんでい、分かり易い催促しやがって。いいぞ、毎晩は無理だが、数日に一度くらいはおまけしてやる!」


 やった、言ってみるもんだな!


「そうだ契約と言えば、今さらだけど」

「なんだ?」


 タグを身に着けながら、ふとずっと気になっていたことを聞いた。


「新人低ランク冒険者への一時滞在契約だっけ。なんで15マグだったんだ?」


 今思えば、ギルドからの助成だろうと安すぎて割引どころの話じゃないし、額も中途半端だ。答えは意外なものだった。


「おう、あれか。手続き費用だ。紙代だよ。依頼書の」

「へえって、安っ!」


 安いというか細かいな。


「馬鹿いえ。一晩毎に書かにゃならんからな。魔素も積もればなんとやらよ」


 それ、そんな言い回しになるんだ。


「まるで普通の宿泊費のような態度で受け付けてただろ」

「そりゃあ、シャリテイルが連れてくるってな、新人に決まってるじゃないか」


 そういうことかよ。助成というか、まるまる保証されてたのか。


「毎回、ギルドに申請するとかそういったもんだったんだ」

「まさか。届け出自体は数日おきだったり、まとめてだ。そりゃあ、何かあっても困るから都度がいいんだが、つい面倒でよ。しかも、こんなに長く泊まるやつなんか今まで居なかったからな」


 し、しかたないだろぉ、俺は即戦力にならないし……。

 おっさんが面倒臭がりになるのは、自分の慣れた仕事以外なのは分かったよ。


「だからよ。こうして、普通に泊まってくれるのは本当に助かる」

「まだまだ居座るから、よろしく頼んます」

「おう、願ったりだ。気ぃ付けていけよ!」


 謎も解けたし、おっさんの声を背に受けながら逃げるように宿を飛び出した。

 でも、すっきり清々しい気分だ。大人買いっていいよな。ちょっと違うか。




 空がうっすらと明るくなるのを眺めながら、俺は南街道に出ていた。

 シャリテイルからの連絡を待つのに、街の周辺にいるとしか伝えていない。街の周辺の意味は、大まかに結界柵からそう離れていない辺りを指すようだ。


 祠側の南の森へ行くのは、伝えた範囲からは外れるかもしれないが、遠くはないしな。すぐに戻ればいいだろう。どのみち連絡は、ギルドへ寄ったときに伝言されるくらい、のんびりしてる気がするし。

 好きにしていて構わないというお言葉に甘えて、昨晩の思い付きを試すべく向かうことにした。


 目的地は聖なる祠近くの洞穴。

 中に入るには無謀な場所だろうが、外から中の魔物をおびき寄せる分には、良い立地のはずなんだ。

 ゲームでも序盤のフィールドだったのだから、ここでも難易度はそう高くないはず。

 少し覗くだけなら時間はかからないし、もとより粘るつもりもない。


「すぐに戻るつもりだし。平気平気。戻れよ?」


 調子良くいったとしても、目的を果たしたら引き返すと決めて森へ向かった。


 念のため街道で小石を拾いつつ来た。十ほどの塊を確認し、森へ分け入る。

 祠に到着すると速度を落として崖沿いを慎重に進む。

 洞穴前の森までくると、四脚ケダマが現れる区域。西の奥の森相当の難度だ。

 前もって森側の掃除を済ませておこうかと、祠周辺の白樺のような木々との境目辺りまで引き返した。


 腰に括りつけてある小さな道具袋から先ほど集めた小石を手に取り、下生えに目を凝らす。

 あの辺が怪しいなと勘が告げるままに、投げた。

 すかさず左手の剣を右手に持ち替える。


 ざわざわと木の葉が揺れているのは、風によるものだ。

 どうだ俺の勘は。


「分かってる、もうちょい奥だよな。慎重に手前で試しただけだから……」


 白樺もどきを背にする位置まで移動し、同じことを繰り返した。


 不審な動き……今度こそ!


「シェケェッ!」


 思った通り、真正面から飛び出した大ケダマを切り伏せる。

 準備さえできていれば、四脚ケダマごときは殻の剣の錆に……錆にはならないな骨っぽい素材だし。

 とにかく、こんなもんよ!


 この調子でさらに石を投げようと手を腰に伸ばしたとき、右手から葉をゆらす音が聞こえた。


「ぶふっ!」


 とっさ振り向いてしまったせいで敵を顔面で受け止めてしまった。

 頭に飛びつかれる寸前、腕で顔を庇ったのはこれまでの経験ゆえだろうか。

 しかし相手は、重さもある四脚ケダマ。ぶつかった衝撃により、自分の腕で鼻を打つことになり悶える。

 しかもケダマの細い鉤爪が、衣類の襟元と頭に巻いていた布を掴んだ。


「も、もがが!」


 ケダマの体毛が口を覆い、必死に腕を外へ押し返す。

 また服が傷むだろうが!

 ケダマの足を折ると力が緩み、その隙に引き剥がした。


「ぷはっ! くっ……殺す!」

「キキェーッ!」


 左手に握っていた剣を横からぶっ刺すと、あっけなくケダマは消えた。

 四脚ケダマの方だというのに、心なしかまた手応えが軽くなった気がする。


「おぇ……」


 ケダマの体毛もマグに戻って消えるはずとはいえ、唾を吐き出した。

 普段から、その辺の藪に得体の知れない虫にまみれて潜んでいるんだと思うと気持ちが悪い。

 他に気配がないってことは、運よく二匹組だったようだ。


「ふぅ。落ち着いて、もう一度」


 再び石を取っては投げて、斬り捨て、時に祠まで逃げてと繰り返し、ようやく静寂が訪れた。




 少しずつの討伐とはいえ、四脚ケダマのスピードに対応するため慌てながら動いた。そのせいで乱れた息を整えつつ、暗い穴倉の前に立った。


「はぁ……手間ぁかけさせやがって。だがな、お楽しみはこれからだぜ」


 何か小悪党っぽく聞こえるな。

 しかし今度の相手はカラセオイハエだ。

 レベルだけなら四脚ケダマより上なんだから、なぶられるのは俺の方だろう。

 なんか緊張してきた。


 いったん比較的安全な祠周辺へ戻り藪をつつく。この辺は魔物も少ないため、何も出てこない。安心して陰で用を足す。

 そんな時に限って、少し離れた位置にある下生えが揺れた。


「来るなよ。絶対来るなよ」


 無駄と知りつつ唱えてみるが、股間丸出しで剣を構えて待つ姿を考えると、気もそぞろになる。

 なんで紐を一々解いてズボンを下ろさなきゃならないんだよ。

 もしどこかに俺以外の転移や転生主人公が存在するなら、さっさとジッパーを開発してくれ!


「くそっ来るならさっさとしろ!」

「キェぷッ!」


 俺の苛立ちに応えるように、普通のケダマが転がり出たところを串刺しにした。

 ふぅ、手の届く範囲で助かった。




 小用を済ませて、洞穴前へと戻る。

 投げた石の内、回収できた大き目のやつを取り出した。

 洞穴の入り口は狭く暗いが、かすかに見える天井は低い。どこまで奥まっているかも、よく分からない。

 思い切り投げてみて、カラセオイハエが出てくるなら良し。

 出てこないなら、大人しく戻ろう。


 まずは全力だ!


「ふんっ!」


 助走をつけ思い切り投げた。

 洞穴の端へ移動し耳を澄ます。

 空気が通る音が響く中に、聞きなれてきた振動音が混じった。


「随分と遅いお目覚めじゃないか」


 穴から祠側へと下がりつつ、出てくるのを待つ。

 羽音が大きくなり、一匹が姿を現したところで、すかさず石をぶつけ誘導する。

 首尾よく、こちらを向いて動き始めたカラセオイハエの背後に、別の個体が現れた。


「げ」


 そう都合のいいことは起こらないか。

 じりじりと後退しつつ様子を伺うと、五匹が姿を現した。


「ちっ!」


 近付くのをギリギリまで待ったが、それ以上の魔物は出てこない。

 微妙な数だ。

 最後に倒したときの手応えを思い出せば、捕まえられさえすれば、対処できなくはないだろうと思う。

 邪魔が入らないようにケダマは片づけたんだし、純粋にどこまでやれるか。


 四方を囲まれたらやばそうだが、左手は崖。背後は結界。

 さあ、どこまで近付いてこれるかな?


「ほらどうした。足が鈍ってるぞ」


 結界様々だな!




 少し考え、右手の剣を左手に持ち替えた。

 カラセオイハエの外殻と同素材である殻の剣だが、多少は強化されて打ち負けないと聞いた。

 でも今は、一対一での戦いではない。

 適当に振り回し変な風に当てて割ってしまいそうだった。


 そこで初心を思い出し、体当たりだ!

 だがな、馬鹿の一つ覚えじゃないぜ。

 勢いをつけて踏み出した。


 小走りでも、俺並みの鈍足カラセオイハエからすれば、素早い動きだろう。

 ぶつかりにいった先頭のハエが羽を閉じる。

 落ちる前にキャッチだ!


「おら!」


 俺はそいつを掴んで振り回し、後に続いていたハエどもを殴りつけていった。

 カコンカコンと良い音を鳴らし、ハエどもが地に墜ちていく。


「どうだ、裏切りの味は」


 裏切りっていうか、お仲間で殴りつけただけだけどさ。


「うわっ」


 掴んでいたハエの外殻が開いた。決死の覚悟を決めたのか、細く短い六本の足と薄羽をバタバタと震わせる。


「くっ……」


 それが結構な力で、俺の腕を振り解こうとする。

 左手の剣で、外殻に阻まれないよう苦労して突き刺した。

 中身もケダマの倍は硬く感じる。

 それを念頭に置きながら、転がっていた他のハエが次々と飛び上がるのを捕まえると、力を込めて順に止めを刺していった。





 地面に重なる外殻の山を前に、へたり込んだ。


「ど、どうにか、うまくいった」


 怪我もなく生きてるんだから、うまくいったということにしていいだろう。

 そうしよう。


「うーん、しかし巡回先に入れられるか?」


 前もって周囲の掃除も必要だし、あまりに時間がかかりすぎるようなら数時間おきに南の森を回した方が効率は良さそうだ。

 ただ、慣れれば、もうちょい時間短縮できそうにも思う。

 問題は、五匹以上湧いてしまったときか?


 まあ、もう何度か試してみてから考えてもいいかな。


 立ち上がって、殻を洞穴まで移動した。

 放置してもいいかな。

 さすがに、こんなに持ち帰ったってストンリも困るだろう。

 というか変なものを作られると俺が困る気がする。


「あ、でも予備を作ってもらうのはありか」


 殻の肘当てと樹皮甲羅の肩当て。

 これらは新調した革鎧と組み合わせて使うため、まだまだ当分は現役だ。

 殻は磨り減ったり、樹皮の方はへこみも目立つようになってきた。

 ある時突然に割れたりしそうな気もするし、壊れてすぐ替えがあるのは心強いもんだ。


 素材を持ち込めば出費も抑えられるし……あ、でもあれってストンリの趣味で素材を集めるためにまけてくれてるんじゃ。

 ま、まあ、いいか。

 今はお世話になるが、少しずつしっかりまともな装備も買えるようになるさ。


 そうと決めたら一つずつ作ってもらおう。

 無駄遣いはしないといった誓いはなんだったのか。

 よし、明日から守る!

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