第34話 プールのトリプルデート


◆土曜の朝◆

「ルナさん、早く起きないと遅刻しますよ!」

「ん〜…もう、朝?」

俺は眠い目をこすりながら目覚めた。

「って、もうこんな時間⁉︎」

時計を見ると、時計の針は9時を指していた。予定では、9時20分にバス停でマサキと合流し、バスに乗る。そして10時には市民プールに着くはずだった。早く支度をしないと間に合わないのだ。


「早く支度をしないと!」

俺は慌ててベッドから飛び起き、服を着替え、顔を洗い、歯磨き、済ませ、急いでバス停に向かった。


「ルナさん!朝ごはんは食べなくていいんですか〜、食パン一枚でも…」










◆バス停◆

「ごめん、遅れちゃった。」

スマホで時間を見ると、9時23分だった。

必死で走ってきたのだが、3分遅れだ。

「別にそんなに気にしなくていいぞ。バスもまだ来てないし。」

「待った?」

「いや、俺も今来たとこだ。」

「今来たとこだ」と言うのは大体の場合、本当は待っていたということだ。俺は少し申し訳なく思った。

「ゴメンね。ホントに…」

「だから、待ってないって。」


そうこうしているうちにバスがやって来た。

「乗ろっか。」

「そうだな。」


バスに乗ると、座席はほとんど埋まっており、空いているのは2人座れる座席の1つだけだった。

「ここに座るか。」

「う、うん。」

2人はこの座席に座った。


「ゴメンね。」

「だから待ってないし、怒ってもないから。」

「いや、それじゃなくて今日のデートに誘ったこと。」

「それのどこがゴメンなんだ?」

「だーかーらー、付き合ってもないのにデートにつき合せちゃったことを迷惑に思ってるのかなぁと思って。」

「そんなこと気にすんなよ。俺とお前の仲だろ。お前の頼みだったらなんでも聞いてやるよ。」










◆プール◆

「ふぅ、ギリギリ間に合った。」

「ホントにぎりぎりだな。」

時刻は9時59分。ホントにぎりぎりだ。


「あっ、ルナ〜こっちこっち〜!」

明里が俺達に、手招きをしていた。

ルナ達が明里のもとに行くと、すでに明里と明里の彼氏(山下君)、彩香と彩香の彼氏(誰?)は来ていた。

確かに山下君は結構なイケメンだなと俺は思った。それはそれとして、彩香の彼氏は学校でも見かけたことのない男だったが、こちらもかなりのイケメンだ。


「さてと。みんな揃ったことだし、早速プールで泳ごっか!じゃ、更衣室で着替えてから合流しよう!」









◆更衣室にて◆

俺は緊張していた。女子更衣室なのもそうだが、自分が水着を着るというのがもっとも緊張している理由だ。水着を着るという恥ずかしさによって、ここが女子更衣室というのも忘れかけている。

「それにしても、ルナってやっぱりマサキくんと付き合ってたんだ。」

「本当だね。仲よさそうだったけど、付き合ってたんだね。」

2人は楽しそうに『ルナとマサキの付き合ってる疑惑』について語っている。

俺は恥ずかしかったが、付き合っているしている程でマサキを誘っているので、付き合っているということを否定できない。


「あっ、ルナちゃんの水着可愛い‼︎」

「くっ、あまり水着については触れてほしくなかったが…」

「ん?なんか言った?」

「いや、何も。」










◆プールサイド◆

まさか、女になったこの俺が公衆の前で水着を披露することになるとは…


恥ずかしがっている俺とは真反対に、明里と山下君は楽しんでいた。

「いやっほー!ウォータースライダー最高‼︎」


そんな楽しんでいるみんなを柱の影で見てい俺の元にマサキが歩いてきた。

「ルナ。せっかくプールに来たのにそんなとこに隠れてたらもったいないじゃないか。」

「えー、でも恥ずかしいんだよ。」

やはり、恥ずかしい気持ちはなかなか治らない。

「そんなに恥ずかしがるなよ。その…なんていうかさ……その水着、すごい似合ってるよ。」

マサキは顔を少し赤くした。





ところ変わって、ボイラー室。

暗いボイラー室から2つの声が聞こえてきた。

「あなたをここへ連れてきた理由を分かっているでしょうね?」

「当たり前だ、任せとけ。」

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