第29話 妙な石


暑いな。


まだ5月なのに暑すぎる。温暖化のせい⁈

こんな暑い日はアイスに限るな。

だが、冷蔵庫にアイスは入っていなかった。そういえば、この前全部食べてしまったっけ。

近くのコンビニにでも買いに行くか。


「リリム〜、今からアイス買いに行くけど、何がいい?」


「アイスですか。いいですね、今日は暑いので。何があるのかよくわからないので、迷います……」

顎に手をあて、考え込むリリム。


「そしたら一緒に行く?でも、傷がまだ癒えてなかったら家で待ってて大丈夫だけど……」


「いきます!ルナさんと2人でお出かけはあまりありませんでしたから……楽しみです♪」


「コンビニに行くだけだから、お出かけなんか大げさだよ。でも、リリムと出かけるのってあんまししてなかった気がするな」


こうして俺とリリムは2人でコンビニに向かった。

「今日はいい天気ですね♪」


「そうだね。たまにはこういう平和な日も必要だよね」

空は雲ひとつない、晴天だ。

もうすぐ、6月だ。こんないい天気を見れるのも今ぐらいしかないのかな。






◇◇◇


ピロロロン、ピロロロン

いらっしゃいませー。


「どれにするリリム?」


「どれにしましょう……迷います。ルナさんはどれにするんですか?」

リリムはかなり悩んでいる。あまりアイスというものを知らないのだろうか、「こんなアイスもあるんですか⁉︎」と目を輝かせて見ている。

どれぐらい研究所にいたのかはわからないが、期間が長ければ、それだけ外の世界と無関係になる。いろんな色や味のアイスを見て、興奮しているのも無理はないか……


「俺はレモンアイスにしようかな」

そう。俺はレモンアイスが好きだ。レモンアイスはほぼと言っていいくらい、ハズレがない安定した味だ。どのメーカーのレモンアイスでも、すべて美味い‼︎

俺はいつも無難にレモンアイスを選んでいる。


「じゃ〜、私もルナさんと同じものを選んでもいいですか?」


「全然いいよ!レモンアイスは美味いよ‼︎」

2人で同じアイスを買い、コンビニを出る。つかの間のエアコンガンガンの天国から灼熱の地獄へ出てきてしまった。この時期でこんなに暑いなら、夏は大変だろうな。

「よし、アイスも買ったし、溶けないうちに早く帰ろう!」


「はい!」


俺たちは近道をして帰っていた。その途中にお祓い屋の神社がある。少しめんどくさい気がするので、その場所は走って通り過ぎよう。


だが、お祓い屋は門から出てきて、階段の掃除をしていた。これでは気づかれるな。


「おっ!お前はルナじゃないか。少し話があるんだ」

話ってなんだろう?気になるが今はアイスの方が重要‼︎

無視だ、無視。


「おい!ちょっと待ってくれ!なぜ無視をする」


「アイスが溶けるから」


「えっ!そんなことで……こっちは重要な話をしようと思ってたんだ」


「じゃ〜、家についてきて」








◇◇◇

「俺にはアイスなしか(怒)」


「しょうがないでしょ。自分が急に来たんだから。そうだよね、リリム」


「はい!その通りです」


「リリム、お前な〜、ルナの味方してるだろうが。まっ、そんなことはどうでもいいんだ。本題はここからだ。覚えているか、あの祠のこと……」

お祓い屋の目つきが真剣になったので、俺もふざけるのをやめた。


「もちろん覚えてるけど。それがどうしたの?」


「あのあと調べてみたんだが、この妙な石が祠にくっ付いていた。俺がその石を祠から外すと歪みはなくなったんだ。」

お祓い屋はその石をポケットから出し、俺たちに見せた。


「ということは、その妙な石によって歪みが発生してるということ?」


「理解が早くて助かる。恐ろしいのは、魔物たちはすでに、この世界と向こうの世界を繋ぐ方法を見つけているということだ。いつ、こちらの世界を襲うかわからない。大変危険な状態だ」

「分かった。これからは歪みが発生しているところで、その石があれば回収することにするよ」

「それはありがたい。それではそろそろ失礼する」



お祓い屋は帰っていった。


「最後らへんのお祓い屋、ソワソワしてなかった?」


「きっと、みたいアニメがあったんじゃないですか?あの人、アニメ大好きですから。」

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