第24話 敵は……


 俺は討伐団で給料をもらえることがわかったので祠はもう撤去しても良いかなと思い、祠のとこに来ていた。事実、魔物関連の依頼は少なかったし……。

 昨日一昨日の会議で巫女姿の俺は討伐団に狙われてしまったのだが、魔物討伐や、半人半魔の人たちを救出する仕事は吸血鬼姿で行動するわけにもいかないので巫女姿でっていた。

「その前に、何か依頼文はあるかな?」

 俺が祠の中を覗いてみると、中には『空間の歪み』が発生していた。

「なんでこんなところに⁇」

 俺が驚いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「お前が犯人だったか!」

 声の方を見るとあのお祓い屋がこちらに向かって歩いてきている。


「いきなりなぜ私が犯人に?」


「おれはお祓い道具のこの宝石が魔力に反応したのでこの場所に来たんだ。そしたらお前が空間の歪みを発生させていた」

 お祓い屋がその宝石を見せると宝石が黒ずんでいた。コレが魔力に反応したということなのだろう。

 だが、俺はやっていない。

「私はやってない‼︎」


「そんなの口ではいくらでも言えるさ…会議ではあんな言っておきながらどういうつもりだ?」

 ん?なんでお祓い屋は会議のことを知っている?いや、あの会議に出席していた気もする……


「本当に違うんだ‼︎」

 俺は必死に訴えるがお祓い屋は信じてない様子だった。

「じゃ、誰がしたというんだ?」


「それはきっと、魔物がここに仕掛けたんじゃないかな。」

 俺はそういったがお祓い屋は相変わらず、信じておらずに俺を睨みつけていた。戦う気だ。

 向こうがその気なら俺もやってやろうかとしていた時だった。

 その時、その歪みから何かが出てきたのだ。ゾンビのような姿をしている。いや、きっとゾンビだろう……

「ウ〜〜」

 ゾンビの声だ。ゲームではよく見るキャラだがまさか本物に出会えるとは……感激だ!

 だが、ゾンビは俺とお祓い屋の殺気バチバチの空気にビビり、息を殺して、そのまま空間の歪みに戻っていこうとしていた。

「オイ!何逃げようとしている。」

 お祓い屋はそのゾンビの腕を掴み、強引に引っ張りあげた。

「早い話、こいつに聞けばわかるんじゃないのか?お前が犯人だったかどうかが……」

 確かにこいつに命令したやつがいるとすれば、俺の無実が証明できる。いや待てよ、それ以前にゾンビって話せるっけ⁇


「で、お前は誰に命令された?」

「ウゥ〜そ、そ、それは言えない…」

 えっ、ゾンビってしゃべれんの‼︎


「ほう…これでもか?」お祓い屋はゲンコツを何発かゾンビに喰らわせた。


「イテテ、言いますよ、言います。」

 ゾンビは泣きながらいった。おいおい、ゾンビに痛いとかあるのか?

「おいらはサ…」


 /ドサッ/

 漆黒の魔力を宿した球体がゾンビを貫き、ゾンビは消滅した。


「これはどういうことだ? ゾンビが何者かに撃ち抜かれたぞ。口封じか……」


「これでわかったでしょ、私じゃないの。」


「あぁ、わかった。悪かったな疑って。俺がこの祠を預かるがいいか?」

「別にいいけど……」


 お祓い屋は封印のお札を祠に貼り、俺に話しかけた。

「おい、お前。さっきの攻撃、この学校の中に犯人がいると思うか?」

「その可能性はあるかもしれないけど、もしかすると仲間同士を疑わせ、信用できないようにするための敵の作戦かもしれない。魔物たちが攻めてくるかもしれないと討伐団が作戦を考えている時にこの話を持ってきては、情報漏えいを気にして作戦も考えられなくなるかもしれない。この中に裏切り者がいるかもしれないと……」


「では、今のところは黙っておくでいいか?」


「そうだね。確証がつくまでは混乱を避けるために真実を話すのは控えていよう」

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