第19話 空間の歪みの先に
27 空間の歪みの先に
『空間の歪み』を通り抜けると、そこは隙間から僅かに光が差し込んでくる暗い倉庫だった。
「お〜獲物がきたな」
突然後ろで声がした。後ろを振り向くと、そこには赤い巨体でツノが1本生えた魔物が立っていた。頭はウインナーのように長い。手には棍棒を持ち、恐ろしい形相をしていた。
その魔物は俺を取り押さえようとするが、俺はそれを避けた。
「お前は何者だ?」
俺は魔物に問いかけた。
魔物は答えた。
「俺はここに迷い込んでくる、珍しいお前たち人間を捕らえ、売りさばいているアブダクト様の部下、ダクトだ」
そう言って俺を捕まえようとするが、それを難なく回避した俺は吸血鬼に変身した。
錫杖を思いっきり振りかぶりダクトの頭に攻撃すると、ダクトは呻き声を上げて倒れた。どうやら雑魚のようだ。
この倉庫内に捕らえられた人が他にいないかと探すと、やはりいた。みんな手足をロープで縛られて、檻の中に閉じ込められている。俺は人間の姿に戻り、捕まっている人たちの話を聞いた。
※話は省略します。
話を聞いた結果、分かったことは
・ここに囚われている人たちは迷路で行方不明になったといわれていた人たちだったこと。
・ブローカーや階級が上の者、さらにはこの魔界を治める魔王の城に売られていくこともあるということ。
・この人さらいたちのボスは、さっき倒したやつより強いということ。
・今はそのボスは出かけているということ。
・檻はボスが持っている鍵でしか開けられないということ。
以上のことがわかった。
「必ず助けるから!」
そう言い残し、俺は外にボスを探しに出かけた。
あたりは荒野だった。
しばらく歩くと街が見つかった。
街は、店らしきものもあり、そこには当然のことだが、魔物達がうようよいた。俺は周りと同化するため吸血鬼になり、その中を歩いた。吸血鬼になれば怪しまれることはない。
ボスを探すために街を歩き回っていると、向こうの方から行列が道の真ん中を通ってきているのが見えた。街を歩いていた魔物達はその行列を見ると、手を頭上に上げ、「サタン様バンザイ」と口々に言い出した。
俺がその光景を何なのだろうとぼーっと見ていると、突然現れた魔物の少年が「君も早く言わないと。反逆罪で殺されるよ!」といい、俺の手を挙げさせて「サタン様バンザイ」と無理やり言わせた。
俺は「サタン様、バンザイ」と言いながら列の中心を観察すると、宙に浮かぶ椅子にサキュバスが座っていた。
サキュバスが俺の方を向き、一瞬驚いた表情を見せたが俺はその時はそんなに気にしなかった。
この時気付いていれば、あんなことにはならなかったのだろうに……………
行列が通り過ぎ、周りもバンザイをやめたので俺もやめた。
「ごめん。ありがと。」
この世界の掟を知らなかったが、この少年のおかげで助かった。
俺は少年に礼を言うと少年は照れ臭そうにような表情をして「礼を言われるほどじゃ……」と言った。
それにしてもこの少年、見た所、全然魔物っぽくなく逆に人間に似ている。一体何者だろうか?
◇◇◇
みなさんこんにちは‼︎
リリムの魔物紹介コーナー第ニ弾です。
今回は討伐団からあっという間にやられてしまったあの魔物を紹介したいと思います。
ゲストは、ルナさんの家の近所に住んでいる上田次郎(58)さんです。
それでは早速紹介に入りたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前・ガンムッド
ランク・D
姿・体がゴツゴツした岩で出来ている。
戦い方・硬い岩で相手の攻撃から身を守りつつ、岩の拳で相手を殴ったり、岩を相手に飛ばして攻撃する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上です。どうでしたか上田さん?
上田・「今回は討伐団からすぐ倒されてしまいましたが、本当は強い魔物なんです。討伐団の桜班が強すぎたんですよ。これから、ルナさんには討伐団のみんなについていけるように頑張って欲しいですね。」
リリム・「上田さんありがとうございました。では、また次回お会いしましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます