第18話 お化け屋敷
マサキが戻ってきた。手には、ポップコーンやジュース、クレープなどたくさんの食べ物を抱えている。
「そんなに買ってこなくていいのに」
と俺は言ったが、マサキは
「付き合っているフリでもどうせだったら楽しもう!」
と笑顔で言って、俺にジュースやクレープを渡した。
俺はマサキの笑顔が少し心に引っかかった。
まずは、ジェットコースターに乗ろうということになり、マサキとジェットコースターの順番待ちをしていた。
【ジーーーーーーー】
その間も後ろにすごい視線を感じたが向かないようにしていた。
ジェットコースターは人気のアトラクションだったため、数十分並んでやっと乗れることになった。
「やっとだな」
「うん、もう待ちくたびれてたよ」
俺もマサキもジェットコースターは苦手ではないので、楽しんでいる範囲での叫び声や、ジェットコースターが下る時には手をあげてキャーと叫ぶなどはしていたが、明らかに後ろの席からは声ひとつ聞こえず、おかしいと俺は思い、振り向いた。するとなんと凛が俺を瞬きもせずにずっと見ている。俺は慌てて、前に向き直った。
次にお化け屋敷に行くことになったのだが、もう凛の姿は見えなくなっており、俺は少し安心していた。
「もう、ついてこなくなったみたいだな」
マサキもホッと胸をなでおろしている。
このお化け屋敷にはカップルが最後まで手をつないでいくことが出来れば、2人は結ばれるなどという話があり、俺はマサキとはあくまでもウソでカップルを装っているので、手をつなごうとは思わなかったがマサキが「別にいいだろ。せっかくフリをしてんだからつないで見ようよ。」
そう言うのでつないで進んでいくことにした。
だが、ここに罠は仕掛けられていた。凛はその噂を知っていたので、ここで2人の手を離させれば2人は別れると思い、先に潜入していたのだ。
一方、俺たちの方は着々とお化け屋敷の中を進んでいた。実は俺はマサキには黙っていたが、おばけ系は苦手だった。マサキもそれは知らなかったが、手をつないでいるだけあって、俺が震えているのには気がついたようだ。
「ルナ、もしかしておばけ系は苦手だったか?」
マサキが心配そうに聞いてくる。
だが、俺は「違う!」と言い張り認めなかった。
その時‼︎
「うわっ‼︎」
マサキの叫び声がお化け屋敷中にこだました。ルナとマサキの手も離れ、マサキは突然その場から消えてしまった。
一人になってしまった俺は、それまではマサキがいたのでどうにか怖いのを我慢してきたのだが一人になってしまい、凄まじい恐怖感に襲われていた。
そんな状態のルナにお化けたちは容赦なく襲いかかる。墓から、井戸から、木陰から...…
「こ、怖いよっ‼︎マサキ‼︎」
その頃、凛は笑みを浮かべていた。作戦が成功したのだ。実はさっきのマサキが消えた理由は凛が掘った穴のせいだったのだ。
一方、マサキは穴からようやく出て、ルナを探すために走り出した。
「キャーーーーーー‼︎」
幸い、叫び声がずっと聞こえるため、場所は分かる。
マサキは思った。それにしてもなぜ、魔物は平気なのにおばけは苦手なのだろうと...…
俺がおばけ達から必死に逃げていると、
「大丈夫か?ルナー!」
と言うマサキの声が聞こえた。その声の方向を見ると、マサキがいた。
俺は目に涙を浮かべ、
「怖かったよーー」とマサキに抱きついた。俺はマサキの暖かさを感じ、今までの怖い思いから解放され、ホッとし、安堵の涙が流れてきた。
俺は赤面していた。
というのも、先ほどお化け屋敷でマサキに抱きついてしまったので恥ずかしくなっているのだ。俺は「さっきのは躓いただけだから」と言い訳したが、マサキは別にからかわずに静かにそれを聞いているだけだった。
次に向かったのは、最近できたという迷路のアトラクション。なんとその迷路は日本で一番大きな面積の迷路だった。噂ではこの迷路に入った後にぜんぜんでてこなくて行方不明になっている人もいるそうだ。さすがにそれはデマだと思うが……
一方、凛はある計画を立てていた。それは何かというと、この迷路に入った2人を離れ離れにして、自分はその隙にルナに近づき一緒に迷路を楽しむということだった。
迷路に入ろうとした時に突然、お祓い屋が騒ぎ始めた。
「っていうか、お祓い屋まだいたのか」
時刻は午後5時半。
「アぁーーー!もうこんな時間だ‼︎始まっちゃうよーーー!!!!!」
俺と猫の状態でついてきたリリムは、またアニメだなと考えていた。
「Bダッシュ‼︎」
お祓い屋はすぐに走って帰って行った。
そんな様子を見ながら、俺は「この時間なら、ヒロ○カかな?」
リリムは「いやいや、境界のRIN○Eでは?」と話し合った。
気を取り直して迷路の中に入っていく。入ってすぐに煙が辺りの視界を遮ってしまった。これは凛の作戦で、俺とマサキの2人を離れ離れにさせることは見事成功した。
俺は一人きりになってしまった。だが、その場にいてもらちがあかないので迷路を進んで行くことにした。
俺が進んでいくと、そこには『空間の歪み』が発生していた。これがリリムの言っていた、違う世界につながる通路……
普通なら怖がるのだろうが、不思議と好奇心が勝ち、俺は歪みの中に入っていくことにした。
一方、その様子を見ていた凛もそのあとを追いかけた。
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