第17話 ルナの憂鬱
□学校にて
朝
「実は困っていることがあるんだ。」
俺は明里にある事で相談している。
「えっ、どうしたの?」
「最近、学校にいるときにずーっと目線を感じるんだ。で、その方向を見てみると、一つ下の女子生徒がこっちをじーーと見てるんだよ」
「へー。もしかしてルナのことが好きなんじゃないの?」
明里はこっちの気もしらないで面白そうに言った。
□昼休み
屋上で俺と明里と彩香の3人でお弁当を食べていた。
するとまた、視線を感じた。その方向を見るとまたさっきの女子が覗いている。なんだか、怖い。
「ルナ〜、やっぱりあの子ルナのことが好きなんじゃないの」
「またテキトーなこと言って。本当に困ってるんだよ!」
相変わらず、明里はからかってくる。明里に真剣に相談した俺がバカだったのか。
□放課後
終礼が終わり、討伐団の部室に行くとそこにもあの女子がいた。しかも、こっちに近づいてきた。
(なに⁉︎このストーカー女、めちゃくちゃ怖いんですけど‼︎)
「あのールナ先輩。私は凛と言います。よろしくお願いします。」
女子(凛)はていねいに俺へ挨拶をする。まさか普通に挨拶をされるとは思いもしなかったので、かなり驚いた。
「それで、今度の土曜日に討伐部でレクレーションがあるのでよかったら来てください‼︎」
「えっ、もしかしてそれに誘うために?」
「はい、なかなかタイミングが……。あの、参加は?」
「もちろん、参加するよ」
てっきりストーカーだと思っていたが、それは俺の思い過ごしのようだ。
「よかったです」
凛は心底ホッとしたような表情を浮かべる。
「これで私とルナ先輩の2人での時間を楽しめそうですね♪」
「へ?」
身体中に鳥肌が立った。やはり凛は危険だ‼︎とはいえ、もうOKしてしまった。どうしたものか。
家に帰ってから、リリムにもどうすればいいかアドバイスを聞いてみた。
「ルナさんは元々男なんだから丁度いいんじゃないんですか。」
「確かに可愛いけど、嫌なんだよ。だって相手はそっちの趣味ってことでしょ。それに、最近、あんまし女の子を好きとかいう目で見なくなってしまったというか。どう言えばいいんだろう」
つまり、今の俺には男の頃の俺ほど、女子に興味がなくなっているということだ。その原因は、おそらく俺の女体化。
「とにかく、今の俺は恋愛対象で女子を見ていない!」
「それじゃ〜良い方法があります‼︎」
リリムは手をポンと叩いた。
リリムが連れてきたのはマサキだった。
リリムの説明では、マサキと俺が恋人のフリをして2人がアツアツな雰囲気を出して、凛を諦めさせるという作戦だった。
マサキはすぐにオッケーを出してくれた。
□次の日・土曜日・遊園地
ルナとマサキ、猫の姿のリリムがレクレーションの遊園地に着くと、凛が早速近づいてきた。
「紹介するね。私の彼氏のマサキも連れてきたんだ!」
早速、彼氏がいるよ攻撃だ‼︎
しかし、凛は聞いてないフリをしていた。
「どうやら、現実を受け止めたくないようですね。これはかなりの頑固者ですよ!」
レクレーションは基本的にはこの遊園地で1日自由に遊んでまわるということだった。
マサキは俺に何か飲み物を買ってくるからと言って売店へ向かった。その間に凛に近づかれないように凛がいる場所から離れていると、誰かに肩がぶつかってしまった。
「すみません、よそ見してて」
「あ、俺のほうこそ……、お前、あの時の‼︎」
「げっ、お祓い屋⁉︎」
なんと、その相手はお祓い屋だったのだ。
「なんで、お前がいる?」
率直な疑問を問いかける。
「俺もこのレクレーションに呼ばれたんだ。なんてったって俺は、討伐団の特別事態対処員だからな。それより、お前こそ何故ここにおる?」
「こっちだって討伐団員なんだから」
「お前が討伐部員だと?魔物なのにか⁉︎バラそっかなー」
お祓い屋が言うと俺も負けずに言い返した。
「そんなに言うのなら、この前、お前がアニメ〜アニメ〜って叫びながら走り去っていった映像を公開しちゃおっかなー」
俺がこう言うとお祓い屋は顔を真っ赤にして、
「すまん。それだけは言わないでくれ」と言って立ち去った。
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