第12話


 □次の日、放課後



 今日は金曜日です。

 いいよね〜金曜日って。明日から休みだから、学校も頑張れちゃうよね!



 さっそく、祠に依頼の手紙が入っているか見に行った。


「おーい、ルナー」

 マサキが向こうから走ってきた。

 最近、やっとルナと呼ぶことに慣れたみたいだ。


「依頼の方はどうだった」


「今から見に行くところだよ。一緒に行かない?」


「おう、いいぞ」


 2人で祠を見にいく事にした。


 祠の中を見てみると3枚の手紙が入っていた。

 順に見ていったが、ひとつ目はなくしたものを見つけて欲しい。ふたつ目は好きな人と付き合いたいと書いてあった。


「はぁ、魔物系の依頼を期待してたんだけど。これは無理だよ」

 どちらも専門外の願い事だ。


「いいじゃないか。それだけ平和だってことだろ。まだひとつあるから見てみろよ」


「どーせ、みっつ目も同じようなやつでしょ」

 俺はそう言いつつも、みっつ目の手紙を見てみる。


 手紙にはこう書いてあった。

 ・私は魔物です。最近は悪い魔物が暴れるせいで私たちまでそいつらと同じように思われて、討伐団から襲われています。私たちはただ、人間の姿をして平和に暮らしているだけなんです。私たちの力では自分たちを守りきれません。どうかお護り下さい。



 まさか、魔物から依頼が来るなんて‼︎

 でも、お賽銭は1万円も入っていたので、この依頼受けるしかないな。よほど、大事な願い事だろう。


「まさか、初めての依頼が人じゃなくて魔物からなんて」


「本当に意外だったな。ルナ、それ受けるのか?」


「うん。でも、誰がくれたかわからないなぁ」


「これを使ったらどうですか」

 突然声が聴こえたのでその方向を見てみると黒猫の姿のリリムがいた。


「なんなんだ?このしゃべる猫は?」

 そっか。マサキはまだリリムのこと知らなかったっけ。


「マサキ、紹介するよ。こちらは俺の手伝いをいろいろしてくれているリリムだ。」


「そうなのか。初めまして、リリムちゃん」


「初めまして、マサキさん。よろしくお願いします」


「ルナ、リリムちゃんは礼儀正しいし、可愛いいし、いい子だな」


「うん。リリムにはかなりお世話になってるんだ。あと、リリムはもともと人間だから人にもなれるんだよ。」


「はい、なれます!」

 リリムが人の姿になって見せるとマサキはかなり驚いていた。



「そうだ。リリム、さっき言ってたことはなんだ?」

 先程、リリムが言っていた事が気になる。


「さっきまで魔界に行っていたので、必要になるかもと思い、この道具を買ってきたんです。」



 リリムが持っていた道具は見た目はカメラのようだった。


「これを使って、ものを撮ると持ち主が写真に映し出されるんですよ。」


「さすが、リリム。ありがとう‼︎」

 いや、それ以前に魔界って何なんだ?また今度聞いてみるとするか。



 さっそく、そのカメラで手紙を撮ってみると写真に写っていたのは明里だった。


「これって、ルナ、お前の友達じゃないか?」


「うん、そうだよ。でも、明里が魔物だったなんて信じられない。」


「ルナさん、これは真実ですよ‼︎」

 俺は別にこのカメラをインチキだと疑っている気はないのだが、リリムが激しく抗議した。


「わかった。そしたら、今から明里に話を聞いてこよう。まだ、教室にいるかな?」

 俺が教室に戻ろうとするとマサキが俺の腕を掴んで止めた。


「何するんだよ、マサキ」


「ルナ、お前そのままで行くつもりか?」

 あまりに衝撃的すぎて、変装などをすることを忘れていた。


「どうするんだルナ?吸血鬼の格好で行っても討伐団とかに見られたらまずいし、髪色とか服とかは変わるけど顔は同じだから見られたらバレそうだし」


「そうだよね。そこが問題なんだ」


「ルナさん。言い忘れていましたが、ルナさんが吸血鬼になった時の羽織っているマントがなんと伝説のマントだったんです‼︎」

 リリムはそう言うと、魔界辞典からそのマントが載っているページを俺に見せた。かなりのご都合主義が気がしないでもないが……


 伝説のマントには透明になれたり、どんな衣装にも変われるなど、他にもいくつかの便利なことが書いてあった。


「ということは、これを使えば変装できるの?」


「その通りです。ルナさん」


「そうと決まればさっそく変身するよ」


「どんな姿に変身するつもりだ?ルナ」


「なかなかいいアイディアがあるんだ。見てて」


 俺はそのマントをまとい、変身した。

 一瞬、光に包まれる。その光が収まると俺の姿がマサキとリリムの視界にも入るようになっていく。

 俺は巫女の姿になり、顔には女狐のお面をかぶっている姿に変わったのだ。


「どう?なかなかいいでしょ。」


「なるほど! 祠に合わせて神社っぽい衣装になってるんだな」


「そゆこと!じゃ、行ってくるね」

 2人に手を振り、俺は教室へ向かった。

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