第11話
□校長室
「君に紹介しよう」
おそらく高三の先輩であろう。美男美女が立っていた。
校長先生は、隣に並んだ先輩2人の紹介を始めた。
「まず、わしの隣に立っているのは討伐団の団長の五十嵐拓海。そして、彼の隣に立っているのが君が配属される班の班長の宮原桜だ。」
校長の紹介が終わると団長さんが話し出した。
「夜月瑠奈、君のことは校長から聞いている。これからよろしく」
手を差し出し、固い握手を交わした。
五十嵐先輩は団長というだけあって、威風が伝わってくる。初めて会った俺でさえ、五十嵐先輩に絶対的な信頼感が置けるような気持ちになっていた。
次に班長さんが話し始めた。
「瑠奈ちゃん、こんにちは‼︎ 私がこれからあなたが配属される班のリーダーだから困ったことがあったら遠慮なく言ってね‼︎」
宮原先輩がニコッと微笑みかけてきてくれた。
宮原先輩は可愛く美しい顔立ちで、さぞ周りからモテるだろう。そして可愛さ、美しさ、を持ちながらその表情は凛々しく、頼もしく感じる。
団長さんはマジメそうな人、班長さんはすごく人の良さそうな人だ。
ふたりともいい人そうなのでとても安心した。
次に校長先生が話し始めた。
「君が吸血鬼だということは2人には知らせている」
「えっ⁉︎そうなんですか?」
マジかよ、知ってるのは校長だけじゃなかったのか?
「大丈夫よ。実は私もあなたと一緒で人体実験されて、ある能力を使えるの。でもこれはここだけの秘密よ。」
宮原先輩は人差し指を唇に当て、「秘密ね」と言った。
という感じで、この後もかなり長い話をしていた。
簡単にまとめると、班長さんは討伐団の中で最も強く、腕のいい人だということ。
そして、その班は班長さんが選び抜いた腕利きの人たちでできている精鋭だということだ。
つまり、そこの班に俺を入れれば、俺の身がもっとも安全だということになる。
俺が吸血鬼だということは校長と団長さん、班長さんの4人だけの秘密ということになった。
「ということがあったんだよ、マサキ。」
ここは俺の部屋。遊びに来ているマサキに今日の事の次第を全て話した。
「そうか。校長以外も知っているやつがいたのか……」
「あっそうだ!ルナ、お前が置いている箱をちょっとオレ流に変えてみたぞ」
「なんで?」
急な話の内容の変わり方に驚いてしまう。どうやら、俺の設置した箱の話に変わったようだ。
「あれじゃ〜、ただの木箱みたいであんまり雰囲気が出ないじゃないか。」
「そうかなぁ〜?」
とは言ったものの、マサキに言われてみると確かに地味だし、ただの木箱だ。俺にはそこらへんのセンスが無いのだ。
「だから、俺が祠を作って代わりに置いといたぞ。そっちの方が雰囲気が出るだろう。姿の見えない神様にお願いするって感じでさ。そっちの方がいいだろ、姿を見られるわけにもいかないしな」
ホームセンターで材料を全て買って、日曜に完成させたという。自費で俺のために作ってくれたという事はありがたいが、なかなかの暇人ではないのか。まぁ、休みは基本的に家でゴロゴロしながらゲームしてる俺が言えた事じゃ無いけどな。
「見に行ってみないか?」
「うん!」
俺たちはそのマサキが作った力作の祠を見に行くことにした。
□祠
なんという事でしょう。以前はセンスのかけらもなかったただの木箱が和らしさを感じさせ、神妙な雰囲気が漂うように‼︎
「すっごい! よくできてるね‼︎」
予想以上にクオリティが高く、驚いた。
「だろ、1日かけて作ったんだからな」
マサキは誇らしげに腕組みをし、胸を張る。なんか、かわいい。
「こっちの方が確かにいいね。」
先ほどは暇人などと言ってしまったが、確かにマサキのおかげで祠は立派でセンスの良いものに仕上がった。
「それにしても、ルナの考え出した、商売の方法って……」
「言わなくていい‼︎」
マサキの口を急いで抑えた。
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