三度目
結局わたしはまたハローワークに向かっていた。惨めだったけど、誇りなんてものはもうどこかに置いてきていた。生きるためにはこの道しか、働くしか、ないのだから。生きるためには仕事は選ばないつもりでいた。しかし、わたしはそこで予想外の一言を食らったのだった。
「あなたには何も紹介できません」
「どういうこと、ですか?」
わたしは愕然とした。そんなことがあるのか、と。
「言葉の通りです。どの仕事も長く続かず、雇用元からこちらにクレームが入るような貴女に、紹介できる仕事はありません」
ハローワークの職員は淡々としていた。それが、わたしに「お前は何もできなかったのだ」という結果を知らしめるようで、頭がぐらぐらとした。
それから数日後、わたしの貯金は底をついた。
わたしは何がなんでも生活していかなきゃならなかった。でも、ここが限界なのかもしれなかった。というより、わたしにはここが限界だった。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。親孝行のひとつもできませんでしたね。幸い、プロ時代にかけた保険が適応されてたくさんの保険金が降りるはずです。それが最初で最後の親孝行になりそうです。
わたしのことは忘れて幸せになってください。わたしはバレエを引いたら何も残らない人間でした。その事を事故の後痛いほど思い知りました。そんな人間にはこんな形がお似合いでしょう。心配をかけ続けた人生でした。本当にごめんなさい。
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