第13話 上洛
紅が
都についたら夜になってしまった。
『
(畑……)
のド真ん中だった。
薄っすらと
越後は
紅は、越後有数の港である
(ひょっとして越後より
都の有様に
何で御先祖さまが、わざわざ遠い地方にお下りになったか、わかったような気がした。
ちょっと大きな屋敷は、屋敷というより
ちなみに構というのは自衛のために構築された
鴨川に通ずる小さな川がたくさん流れており、それを利用して館の守りがなされていた。これも後々聞いた話だが、
かと思うと、焼け
後に、その建物が
築地が破れているので、
何せ
訪ねて行くように言われた屋敷を探したが、暗さも暗し、道も不慣れで、一体、何処をどう行ったらいいのかさえわからない。大きな道を進んだが、治安が悪いせいか、道を尋ねようにも、まだそんな遅い時間でもないのに、人っ子一人歩いていない。
音はもう走っている。
何だろう?
暗い道に目を
現れた、それ、に目を疑った。
たくましい黒牛が、華やかな
(話には聞いたこと、あるけど)
あれはもっと昔。
御先祖さまがまだ伊豆にいた頃、使われていたって聞いたけど。
都では今でも使われているの?
牛は走っている、こっちめがけて。
感心している暇はない。
牛の周りを、黒い
馬を
牛は
か細い悲鳴が聞こえた。
誰か乗っている、牛車に。
とっさに決心した。
「
何も知らず木に近づいてきた騎馬武者らの、先頭を走る者めがけて投げた。
もんどりうって馬から落ちる。
木から飛び降りて、
他の騎馬武者たちが馬を寄せて、紅を取り囲もうとする。
と、何処からか
ひるむ
牛は
騎馬武者の一人が高らかに笑った。
彼が合図すると、他の武者たちはさっと囲みを解いて、落ちた武者を拾って、元来たほうへ去っていった。
(何なの、一体)
武者たちのことも、何者だかわからなかったが。
(あの飛礫は?)
誰が投げたんだろう。
牛はがっくり
牛車に近づいて
中で誰か気を失って倒れている。
「
悲鳴を上げて飛び起きた。
紅とあまり年の変わらない少女だった。
「
「わ、私は
娘は言った。
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