第11話 詮議
あれから兄は
(このまま死んでしまうんじゃないだろうか)
だから今、
これからお取調べがあるというのである。
相変わらず、何が起こったか、詳しいことは
知っているのは
「あれが、……長男……病弱……。」
「いや何でも、遺体が引き上げられたとき、
「しっ!」
皆が陰でこそこそ話していることは知っているが、彼に向かって話しかけてくれる者は誰も居ない。
(
誰よりも
前庭に夏の日差しがじりじりと照りつけて、白く乱反射している。
木立から
広間には諸将が居並び、ものものしい雰囲気だ。
なのに、真相を追究するため、というより、追及しているという事実を
お
色白で
いつものことながら彼が姿を現すと、その場の雰囲気がぴりっと締まる。作り物めいた感じはいっぺんに無くなり、何か
一同、お屋形さまに礼をした。
お屋形さまが
罪人が引き出された。
彼女は白い
髪はもつれ着物も汚れ、よろよろと
喜平二は思わず腰を浮かしかけたが、周りの厳しい視線に又、腰を落とした。
紅は崩れるように、
ああ、ここにも
(当事者なのに)
誰よりも疎外されている者がいる、と思った。
何度目かの問いに、とうとう答えなくなった。
「何だ、どうした。
頭を上げ、空を見やった。
喜平二も彼女の視線を追った。
天空の高いところで、一羽の
飛ぶ鳥が目に入っているのかいないのか、
「もう」
小さな声で言った。
「死んでしまいたい。」
役人が棒を高く振り上げた瞬間、喜平二は
刀を油断無く構えながら、
「誰もこの女に手を出すなっ!俺が相手だっ!」
紅が、がくりと
肩を抱いて言った。
「俺はそなたが好きだっ!たとえこの世の中の全ての者がそなたの敵でも、俺だけはそなたの味方だ!忘れるな、俺の気持ちは変わらない。何があっても!」
一人だけ
「それまで。」
言い捨てると、奥へさっさと入っていく。
「あいつを、俺の
「えっ?」
驚いた。
「お屋形さまの前で
「俺の気が変わった、と皆には伝えておいてくれ。」
ちょっと笑った。
「血は争えんな。」
「あいつは
ずんずん歩いて一人、
取り残された直江は頭を振り振り、元来たほうへ戻って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。