IF 11番目の彼女

※佐々木くんの幼なじみちゃんが参加している設定。佐々木君に死んで欲しくなくて書きました。これにより(人狼が3人に増えています。悪しからず。)


それではどーぞ

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佐々木「僕が吊られてもいいんじゃないかなって…」

八重洲「は?」

胡蝶「いいんですの あなたっ!死ぬんですのよ!?」

鶴木山「にーちゃん…」


信じられないものを見るかのようなみんなの目。

まぁ、普通はそうだよね…。

でも…

僕はちらりとあいつを見る。

苦しそうな何か言わなきゃいけない と言うような 辛そうな…。

大切な幼なじみを。たとえ覚えていなくても。 死なせるわけには行かないんだ…!

そう決意した時だった…。

『まっ、待ってくださいっ!!わ、私、私が…っ!』

彼女は声を上げる みんなを見て言った。

『私が 人狼ですっ!!!』

全員「「!?」」

彼女のその言葉に全員が驚く。当たり前だ。こんなの間違ってる。だってそんな、自分から言うなんて…そんなの…。

玖珂「…そんなの、信じられないよ。」

『信じる信じないは別ですが、そこの佐々木さんを吊るよりもいいんではありませんか??』

彼女は反論を許さない というように続けた。

『考えてみてください! このゲームには人狼が三人います。ですから2回の投票の内確実に一人減らさなくてはならないはずです。』

神座「…それならば別に、今日君を吊らないで泳がせ、明日吊っても良いのではないか?」

神座さんがすっと目を細め 彼女をみる。また、魚暮さんも、睨むように彼女を見ていた。

少しだけ震えた彼女は ぐっと手をにぎり一生懸命睨み返す。

『たしかに明日でも間に合います。ですが、それでは今日、佐々木さんを吊るのは無駄になるはずです。ならば 私を吊り 霊媒の方が皆様に伝えればいいではありませんか!』

魚暮「それも そうだが… 君を泳がせ おそらく市民の可能性の高い佐々木くんも残り あとのメンバーから出すのも手だと私は思うが…」

玖珂「…それは正論だけど難しいよ。もう一分ないんだよ。」

『玖珂くんの言う通り、それにはあまりに時間がありませんよ。皆さん決めてください。私を殺すと。私は誰がなんと言おうと





………人狼なんです。』


そして時間は過ぎ タイムアップとなる。

話についていけず みんなのを聞くしかできなかった僕。

そして投票になり GMが僕を呼ぶ。

そこで気がついた。


ーーこのままでは 彼女が コロサレルーー


佐々木「そこの、黒髪の自称人狼のひと!!」

『……なに?』

ここに来て初めて真正面から見た気がする。

彼女は昔よりもさらに綺麗で 可愛くて…

なのになんで…

佐々木「なんで… なんで自分から死のうとするんだよっ!!!」

『……。』

彼女は僕を覚えていないのだろうか。

佐々木「僕は吊られても何の問題もない。市民が勝てば生き返られるし 役職もない。だけど… だけど 君の話が正しいのなら、君がこの場で処刑され 市民が勝っても君は生き返らないんだぞ?!!?」

僕の叫びは止まらない。嘘だと言って欲しいから。

佐々木「なぜだっ!なぜ 人狼だと言った!!どうして死のうとするっ!!君は……

『……そんなの。』

だけど彼女は 僕の悲痛の叫びを切る

『そんなのっ!生きてほしいからに決まってるじゃないっ!!!!!』

誰もがまた驚いたように彼女を見つめる。

『私は みんなに生きてほしい。出来れば人狼側の人だって生きて欲しい。なんで誰か死ななくちゃいけないの?なんでそんなゲームをしなきゃならないの? …大体間違ってるよ。人を殺してまでして叶える願いがどこにあるって言うの?誰かを殺さないと叶わないような願いなんてそんなもの絶対にあるわけない。そんな強く思う願いがあるのならばとっくの昔に叶ってるはずだもの!!』

ピクリと 数人の肩が揺れる。

何人もの瞳が彼女を見ている。

『どんな願いがあろうと 例え自分の肉親が、親友が、大切な人が生き返るとしても! そのために誰かを代償にしなくちゃいけないだなんて間違ってる!!人が人の命を奪っていいはずなんてないんだよ!!!!』

彼女の肉親は 彼女が幼い頃に死んだ。

今は親戚にたらい回しにされていて、色んなところに行ってるみたいだと 聞いたことがある。

普通なら絶好のチャンスではないか…?

人が生き返れる。目の前で軌跡を見たと言うのに、 肉親と会えるかもしれないと言うのに。

それでも彼女は 『奪っていい命はない 』と言った。

『だからどうか、勝ってください。生きてここから出てください。』

佐々木「そんなの…… そんな…」

彼女に入れなくてはならない、そんな絶望的な状況の中

GM「佐々木様。投票をお願いします。」

GMが無常にも勧めてくる。そして僕は…

佐々木「………………彼女に……1票……」

『…ありがとう。』

彼女はそう笑った。

僕はもう彼女を見ることも出来ずに下を向く。次々と移り変わる投票者。

しかし皆共通して投票は彼女へと入れてゆく。

胡蝶「……申し訳…ありませんわ…」

申し訳なさそうな 白黒の胡蝶さん

八重洲「ごめんな… 美人なじょーちゃん…」

泣きそうなレディースの八重洲さん

鶴木山「すまねぇ、嬢ちゃん。」

目を伏せている怖そうな鶴木山さん

入間「ごめん…なさ…い… おね…さん…」

泣きながら投票した 気弱そうな入間くん

玖珂「僕が…必ず 市民を勝たせるから…ありがとう…おねぇさん…。」

じっと見つめ 真っ直ぐそう言い切った玖珂くん。

神座「君の死は無駄にしない。僕はそう誓うよ。」

にこりと薄く笑いながらの神座さん。

徳川「お前のこと。忘れねーから。」

頭をぽん と叩く徳川さん。

魚暮「君は…勇気のある子だな。私も…そうありたいよ…。」

悲しそうに笑う 魚暮さん。

全部の投票が終わった。

結果はもちろん。

GM「それでは なにか言い残したいことはありますか?」

GMが彼女に質問する。

彼女は真っ直ぐみんなを見渡したあと、僕の方を向き そして…笑って………


『………実は私。祐也くんが好きでした。』

佐々木「え…っ お、おぼえ…て……」

『どうか、皆さん。生きてください。以上です。』

佐々木「まっ、まって…っ」

GM「それでは処刑タイム スタートです!!」

『さようなら 祐也』

佐々木「×× !!!」


綺麗に笑った彼女はそのまま



僕らの目の前で彼女は処刑された。



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