七番【賞金稼ぎ】

ブラック=セブンスター


『好きなものを好きなだけ詰め込む』というコンセプトのもと、プロト版を最終回まで書き上げてすぐに落ち度に気付いた。「黒人は!?」


 というわけでプロト版以上強盗童話以下の番外編群に急遽登場したのがこのブラック=セブンスター。キャラの大まかな変更がされていない珍しい奴です。最初からこんなんだったぜHAHAHAHAHA!


 拙作の短編『人魚の泪はかく語りき』の主人公、リチャード=ジノリの下地になった奴でもありますね。けど書いてみたら似てるところもそうじゃないところもあって、普通に今では分けられていると思います。思いたい。


 旧番外編では七番は空席になっていて、ブラックはまたまた珍しい『捕縛済み』の元ミリオンダラー、という位置づけでした。それをバドがある目的から脱獄させる、というエピソードだったかな。さて。


 ブラック=セブンスター。【賞金稼ぎ】と呼ばれる賞金首。元は<最強>の【白】と並んで『七ツ星』と称された<最凶>、【黒】のカラーズ。


 ミリオンダラーとしての名前の由来はそこから。カラーズ時代は別の名前――あるいは本名で呼ばれていたみたいだけれど未登場ですね。そもそものキャラ作りとしてのネーミングは当時新発売だった煙草の銘柄。上海行進曲で出たアレですね。


 チャイルド=リカーに『英雄狂いドンキホーテ』と揶揄やゆされている通り、ヒーローに憧れた男。ただ、賞金首はいてもヴィランは居ない世界で、彼の英雄ヒーローはあまりに苛烈すぎたのでした。


 ドンキホーテ、というお話を知ったのはだいぶ後で、童話骨子というか下地というかなんというか、ともかくそういうアレな強盗童話の中でブラックの骨子は映画です。


 ウィル・スミス主演。『ハンコック』を観たことがある方は「あー」となるのではないでしょうか。実写化の際はおねがいします(そうじゃねえ)


 ステータス。作中最高レベルの運動性能。知性を持った獣。イメージは黒豹。集中力がMAXになったら普通に弾丸をかわせるんじゃないのかコイツ。だいじょうぶ? インフレしてない?


 習得技能の筆頭はパルクール。市街地戦最強。ビルや標識、走行中の車などなら何でもブラックの移動箇所になる。


 あとは格闘。およそ唯一、登場人物の中で武器を使用しないカラーズ・ミリオンダラーでもあるっぽい。ほら、武装していないということはそれだけで油断を生めるでしょう?


『インヤンガンズバン』の時はリカーと共謀していたものの、対峙の際は本気で互いをりにいっていた模様。リカーはともかく、演技をさせたら大根の可能性大なので「駄目だったら捕まれ」くらいのハードル設定。これはお互いの信頼というか信用のあるもので『コイツはこれくらいで死なない・討ち取れない』という確信があったからです。良いコンビは真似しちゃ駄目だぜ。


 本編裏側では灰音に戦闘、潜入技術を教えている先生。シンデレラ人外要素の一番要因の可能性大。


 性格は喜怒哀楽がわかりやすく、立場さえなければ公私共に気持ちの良いオッサン。ただ、その願望もまたわかりやすいため、強盗童話の現代ではその立場のせいで色々背負っちゃうタイプ。


。じゃあ、悪だ』


 膨大な獲得賞金総額をなお上回る被害総額。七番の空白はそうして埋まり、【黒】の席はそうして空いた。


 彼の物語に『次』があるとしたら、彼が惜しみつつも手放し、けれどそれを悔やんだ『誰か』の手で取り戻す――


 そんなエピソードになるのではないのでしょうか。

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