六番【役者】
アクター
ミリオンダラーの六番目。同時に、三番の【ザ・ゴッドファーザー】と同じく、この八席が設定されてから残り続けている『最古のミリオンダラー』でもある。
『強盗童話』のラスボス。そしてプロト版からのそもそものミリオンダラーの定義、『劇場型賞金首』というものはこいつを考えたところから来ていると言っても過言ではない。
その舞台に『六番【役者】』として登場したのなら、ブラックやリカーでさえも討伐ができないくらいの違法設定である。間違いなく作中最強サイコさん。
また、ある意味で一番“顔の売れている”ミリオンダラーでありながら、そのパーソナルデータの取得がひたすらに困難なところもひどい。
おそらくは白人男性、二十代から三十代、知能・運動性ともにとても高く、身長は180cm内外、あらゆる技術に明るいとされ、その犯行は常に後出し――彼の『映画』が公開される段になってようやく、過去の未解決事件が【役者】の手による『脚本』だったと知らされる。
彼の『素』というものはよく考えていない。それが本編中で明らかになる三つの『役』のどれか、とも作者の冬春でさえ言い切れないのである。
【役者】二つ名がそのまま呼ばれているアクター。
【世界警察本部警部補】ウィル=シェイクスピア。
【
探せば他にも色々と『彼』が
【正義】を演ってみようと思い立った彼は、完璧にその経歴を『作り上げ』、世界警察の本部にキャリア組として入り込む。何年も前から自分を追い続けていた男の下に就き、共に世界警察としての仕事を【役者】として欺きながらこなしていった。そしてふと気付いた。
何年も前から自分を追い続けている男の背を、いつの頃からか追いかけていることに。
演じるべき
そして、もう一つの役。
【ミリオンダラー】【世界警察本部】と来たら、世の代表勢力の最後、【カラーズ】も演っておきたいと思ったのだろう。飛行症候群による犯罪が増加する中、彼は【空の空席】に目をつけた。
『ランスロット』という名が、ハイドロビュートの嫡子ではなく、空の代名詞であるのなら血縁や事実は問われない。
空において最も高い場所に位置するランスロットという名前の存在、がその条件であったゆえに。彼はあの日の事件から燻ぶっていた<IRIS>のメンバーに認められ、賞金稼ぎ『銀河鉄道』としての一歩を歩き出す。こいつのスケジュール管理どうなってんだ。一日が24時間ではなさそうである。
ちなみにこの銀河鉄道というチーム名は、未公開かつ未執筆エピソードから拝借しました。ふんわりと考えていたのは、
『ある丘で断絶してる線路から続きがあるんだって!』ってドロシーが言い出して
『なに夢見てるのさドロシー』とカカシがやれやれしたりしつつも結局ソレを確かめに行っちゃうようなお話でした。
さて、二人目の『ランスロット』。小ざかしくカカシ=ランスロット疑惑に「おお?あれれ?」とさせる感じだったんでしょうがどうでしたでしょうか。効果はそれほど期待しておりませんです。
彼が率いた<IRIS>のメンバー。
これはシェイクスピア作品からの拝借で、察しの良い方はそれでアクターの正体に気付いたりしたかもしれません。
さらに言うなら、アイリス、ジョン、ペドロ、シャイロックという四人の出てくるお話はそれぞれが『シェイクスピアの喜劇作』からで、更に察しの良い方はこのお話が悲劇で終わらない、と予測がついたのかもしれません。
ともあれ、二人のランスロットの対決は本物に軍配が上がりました。
敗因は……狭く新しいものとはいえ、一つの時代の『神話』として実際にそこに在った者と、それを演じようとした者の違いでしょうか。いや、夢が足りないか。
あの少女を『不要』としたかどうかが、最大の分かれ目だったかもしれません。
【役者】【空の王者】の役を降ろされた彼が、最後に自らの意思で選んだ役は、最終話で明らかになりました。
実は/9で二回出てくる
――だから。私は私の舞台に立つ。
という言葉は二回目が灰音であり、冒頭の一回目はアクターのものです。
上手に演じ、『あなた』の心に魅せ付けることができたでしょうか。
「自分はほら、『
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