【第二十八話】農業始めました

 初めてのクエストが終わり次の日。薬草の知識を身に着けようと図書館で図鑑を借りて熟読していた。

 今回のクエストで薬草がそれなりに儲かることが分かった。他の冒険者はランクを上げるために採取クエストこそするものの、ランクが上がればもっと効率のいい討伐のクエストをやるそうだけど俺は出世には興味が無いし生きるためのお金が手に入ればそれでいい。っていうことで俺は比較的安全な薬草採取を生業にしていく。そのために図書館で図鑑を借りてきていた。


「森の奥にはもっと高価な薬草があるのか。」


 確かに俺がここに来る前にリュックに入れてた薬草、量も少なくて尚且つ摘んでから3日くらい経ってシオシオだったけどそれでも金貨数枚の値段になっていた。あれが完璧な状態だったらもっと値段が高かったと考えると後悔が残るけど今考えてもしょうがない。


「よし、今日も薬草採りに行くか。」


 ポチは昼寝中なのでそっとしておく。ポチが来ても魔力があるポチは襲われるかもしれないしな。


 この前のようにクエストを受けてバルド大森林まで来た。


「今日はどこら辺に行こうかな。この前の所はあらかた採ったしな・・」


 とりあえずこの前の場所までは大体わかるからそこまでは行ってみるか。


「あ、薬草だ。」


 採り逃していたのか行く道で薬草を見つけた。


「あ、ここにも。これもそうじゃん」


 てゆーかどんだけ見逃してるんだ俺は!この前は小さい薬草しかないと思っていてけど結構取り逃しているぞおい。


 それから1時間後、俺のカゴの中に1/3は薬草が入っていた。


「うーん、見逃していたにしては不自然だ。通り道の薬草を採っていただけで1/3まで貯まるなんておかしくないか?」


 それにもう一つ違和感がある。昨日見た小さい薬草が見当たらない。


「もしかして育ったのか・・?三日で?まさかな?」


 とりあえずもう少しで今日の分の薬草は集まるはずだ。集めたらかえって図鑑を読もう。


 ギルドに帰るとクラリーチェさんが居た。


「おお、戻ったかユウシ。」


「これだけ採れました。」


 俺は背負っていたカゴを見せる。


「凄い量だな。これを一人で採ったのか。」


「これくらいの量は普通なんじゃ?」


「そんな事は無いぞ?薬草が生えるところは魔素の多い所だ。バルド大森林に限らず魔素が多ければ魔物だって生まれる。君だから魔物に襲われることなく効率良く薬草が採れてる訳だ。バルド大森林なんかに人が入ってみろ、薬草を取る前に敵に襲われて薬草なんか採る暇もない。」


 魔力が無いが故のっていうことか。俺だけしかできない裏技って所だな。ていうことはやっぱりポチを連れて行かないのが正解なのか。


「でも襲われないのならバルド大森林は天国だろう?薬草を採ったって直ぐに生えてくる。」


 ん?いまなんて?薬草を採ったってすぐに生えてくるって言ったか?


「ちょっとまってください、薬草が直ぐ生えるって?」


「?魔素が多いから薬草は直ぐ芽吹き直ぐに成長する。まあ薬草の種類にもよるがな。それを知っているからバルド大森林に薬草を取りに行っていたのではないのか?」


 知らなかった・・ 「森だから薬草もあるだろー」くらいの軽いノリでバルド大森林に入ってた。


「有難うございました」


 俺はクラリーチェさんとの話の後、納品を終わらせると寮に戻り図鑑を開いた。

 うわ、しっかり書いてますやん。

 図鑑には「魔素当たりの生えやすさの目安」なるものがちゃんと書いてあった。・・俺さっき「熟読していた(キリッ」みたいなこと言ってたけど嘘ついたわ。確かに薬草の見た目の特徴とか生息場所は何度も読んでたけど知らない知識については読み飛ばしてた。そんな意味だったのかこれ、言われてはじめて分かったわ。

 そしたらほかの植物も育ちやすいのかな?この前クレアが「大森林産の食材は高い」みたいなこと言ってたけどバルド大森林を探したら食材もあるんだろうか?今度はそうゆうの探してみてもいいな。

 !、そうだ良い事考えた。明日準備して明後日に決行だ。


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 さて、今日もバルド大森林に来た。だけど今日はクエストを受けてきてない。じゃあ何しに来たのかって?それは俺の荷物を見てもらえれば分かる。俺が持ってきた物はこの通り、

 ・クワ

 ・ジョウロ

 ・マーケットで買ってきた苗

 ・バケツ

 そう、俺、畑作ります。いや、みんなの言いたいことは分かるよ?「異世界生活・・・?」だろ?でも稼げそうならやらない手は無いだろ?それにバルド大森林での農作業なら農作業ついでにクエストもでき・・・間違えたクエストついでに農作業できる!


 というわけで畑を作る。とりあえずピーターに言って「犬でもできる!家庭菜園!」を用意して貰った。あの鳥「犬でもシリーズ」好きだな。それにしてもラノベになりそうな状況だよな「危険な森で農業始めました。」みたいなタイトルで。

じょうだんも程々に俺は森の中で比較的開けたところを探す。そんなに大きな規模でやるつもりは無いけどある程度木が無いとこでやらないとな。


「おっ、あそこがいいかな?」


広くは無いけど木が生えてなくて日光も入ってきている。良い立地じゃないんだろうか。


「さて第一歩だ。」


俺は荷物を置き地面にクワを打ち付けた・・・・



 さて、結果から言おう。超時間かかった。地面の中は石だらけだし、地面から魔物出てくるしで大変だった。そして気づいたら日が暮れかけてた。とりあえず5×5mくらいで耕して苗を植えてきたけどどうなんだろう、図鑑によれば明日には五日くらいで収穫できるらしいけど正直信じられない。だけどあれが育てば中々の収入になるはずだ。


とにかく明日も行って様子を見ないとな。

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